「舌切り雀」のあらすじと教訓|優しさと欲の物語
ワイの周りだけかもですが、舌切り雀の話しのあらすじを知らないという人が結構いました。なので、今回は舌切り雀をご紹介。
『舌切り雀(したきりすずめ)』は、日本の昔話の一つで、正直者が幸運を得て、強欲な者が罰を受けるという教訓を含んだ物語ですね。今の財務省にも良い教訓として・・・
話を進めようかw
舌切り雀
昔々、あるところに心優しいおじいさんと、気性の荒いおばあさんが住んでいました。おじいさんは毎日山へ薪を取りに行き、おばあさんは家で糊を作ったり、家事をして過ごしていました。

ある日のこと。おじいさんは山で仕事をしていると、一羽の小さなスズメが弱っているのを見つけました。

「かわいそうに……」と、そっと抱き上げ、家へ連れて帰りました。おじいさんはスズメに米粒を分け与え、優しく世話をしました。
ところが、おばあさんはそんなスズメを快く思っていませんでした。
「ただでさえ忙しいのに、こんなものを世話するなんて!」
と、ぶつぶつ言いながら過ごしていました。

ある日、おじいさんが山へ出かけたあと、スズメがちょんちょんと跳ねながら、おばあさんが作っていた糊をついばんでしまいました。
「なんてことを!」
おばあさんは怒り、スズメを捕まえると、「この口が悪いのさ!」と言って、なんとスズメの舌を切ってしまいました。

スズメは痛みに耐えながら飛び去ってしまいました。
夕方になっておじいさんが帰ってくると、可愛がっていたスズメの姿が見当たりません。
「おばあさん、スズメはどうしたのかの?」と尋ねると、おばあさんは冷たく「あんなもの、山へ追い払ったよ」と答えました。

おじいさんは悲しみ、山へスズメを探しに行くことにしました。山の奥へ進むと、どこからともなく声が聞こえてきます。
「おじいさん、おじいさん」
ふと見ると、小さな家があり、そこには舌を切られたスズメがいました。

「おじいさん、探しに来てくれたんですね!」
スズメたちはおじいさんをもてなし、楽しい歌や踊り、美味しいごちそうを振る舞いました。やがて帰る時間になると、スズメはおじいさんに二つの葛籠(つづら)を差し出しました。
「大きな葛籠と小さな葛籠、どちらかを持って帰ってください」
おじいさんは慎ましく「小さい方でよいよ」と、小さな葛籠を選びました。家へ帰って開けてみると、中には金銀財宝が詰まっていました。

それを見たおばあさんは目を輝かせました。「なんとまあ、こんなにたくさんの宝が!」
欲深いおばあさんは、すぐに山へ向かい、スズメの家を訪ねました。
「わしにもおもてなしをしておくれ!」
と強引に座り込み、スズメたちは仕方なくおばあさんにも食事を出しました。

やがて帰る時間になると、スズメはまた二つの葛籠を差し出しました。「どちらかをお持ち帰りください」と言われると、おばあさんは迷わず大きな葛籠を選び、重たそうに抱えて家へ帰りました。
「さてさて、どれほどの宝が入っているかねぇ!」
おばあさんが喜び勇んで蓋を開けると、中から恐ろしい鬼や蛇が飛び出してきました。

「ヒーッヤッハハハハハッーーーー!!!!オマエアタマカラマルカジリッ!!」
「ぎゃああ!」おばあさんは腰を抜かし、転がるように逃げていきました。
それからというもの、おばあさんはすっかり大人しくなり、おじいさんと慎ましく暮らしたということです。
教訓
この話は、優しさと謙虚さが幸運を招き、強欲や意地悪が災いを招くという教えを伝えています。また、選択の重要性や因果応報(良いことをすれば良い報いがあり、悪いことをすれば悪い報いがある)という価値観も含まれています。
類似の話
この昔話には、日本各地でさまざまなバリエーションがあり、世界の昔話にも似たような構造の物語が見られます。おむすびころりんもそうですね。
考察
このスズメはなにもの?

物語の中では語られていないので、勝手な考察ですが、普通のスズメではないのではと。なぜなら、山の中の「雀のお宿」を持っていることから、特別な存在(精霊や化け物の一種)である可能性があります。
昔話の中では、動物が人間のように話したり、感情を持ったりすることが珍しくありません。これは、聞き手に物語の教訓を分かりやすく伝えるための表現技法の一つです。
日本の昔話には、中国の民話やインドの仏教説話の影響を受けたものが多くあります。中国の『西遊記』にも、動物や妖怪が話すシーンが多く、こうした伝統が日本の昔話にも取り入れられたと考えられます。
なるほど!