北欧神話01:北欧神話の世界観とは?ユグドラシルと九つの世界を解りやすく解説
北欧神話に焦点をあて、時系列で紹介していきます。まずは北欧神話の世界観をご紹介します。ユグドラシルと九つの世界を解説します。
北欧神話の世界観と基本概念
遥か昔、世界は一本の大樹によって支えられていました。その大樹の名はユグドラシル。幹は天と地を貫き、枝葉は九つの世界を包み込んでいます。この大樹こそ、すべての生命と運命を司る神聖なる存在です。
北欧神話は、厳しくも壮大な自然の中で生きる北方の人々が紡いだ神話です。そこには神々、巨人、精霊、そして運命を司る存在が織りなす、壮麗で時に過酷な物語が広がっています。
ユグドラシルと九つの世界
ユグドラシルとは、世界を支える巨大なトネリコの樹であり、その枝の下に九つの世界が広がっている。

- アースガルズ(神々の国) – アース神族が住まう、輝かしい宮殿が立ち並ぶ天界。
- ヴァナヘイム(ヴァン神族の国) – 豊穣と自然を司るヴァン神族の住む地。
- ミズガルズ(人間の世界) – 広大な海に囲まれた、人間たちが暮らす地。
- ヨトゥンヘイム(巨人の国) – アース神族と敵対する巨人たちが住む荒涼とした世界。
- アルフヘイム(光の妖精の国) – 美しく神秘的な光のエルフたちが住む世界。
- スヴァルトアルフヘイム(闇の妖精の国) – 闇のエルフやドワーフたちが地下で鍛冶をする世界。
- ニヴルヘイム(氷の国) – 極寒の霧と氷が支配する、死と静寂の世界。
- ムスペルヘイム(炎の国) – 燃え盛る炎の巨人たちが住む、灼熱の世界。
- ヘルヘイム(死者の国) – 死の女神ヘルが統べる、死者の魂が行き着く世界。
運命を紡ぐ三姉妹と神々の系譜
ユグドラシルの根元には、運命を紡ぐ**ノルン(運命の三女神)**がいます。ウルズ(過去)、ヴェルザンディ(現在)、スクルド(未来)の三柱は、神々でさえ抗えぬ運命を紡ぎ続けています。これは絶対不変の真理です。

そして北欧神話に登場する神々には「二つの大きな勢力」があります。
- アース神族(アースガルズの神々) – オーディン、トール、バルドルなど、戦争や知恵を司る神。
- ヴァン神族(ヴァナヘイムの神々) – ニョルズ、フレイ、フレイヤなど、豊穣や自然の力を持つ神。
かつて、これらの神々は戦ったが、最終的に和平を結び、互いに婚姻関係を築くことで共存の道を選んできました。
終末への予感──ラグナロク
北欧神話の世界では、神々とはいえ永遠の存在ではなく、世界の終焉**「ラグナロク」**が訪れると予言されています。

狼フェンリルがオーディンを喰らい、炎の巨人スルトが大地を焼き尽くします。やがて世界は炎に包まれ、ユグドラシルさえ揺れ動いてしまいます。
だが、それは完全なる終焉ではありません。古き神々が滅びた後、新たな世界が生まれ、わずかに生き残った者たちによって新たな時代が築かれるとされています。
「すべては運命の糸の中にある。しかし、その糸をどのように紡ぐかは、神々と人間次第……。」
以上がかなりシンプルにまとめた世界観と神話の流れです。
次回はより詳しく見ていきます。まずは世界の始まり──「創世神話」の物語を紐解いていきます。