オンモラキとは?供養なき死者の霊が化す仏教系妖怪・陰摩羅鬼の正体
オンモラキ(陰摩羅鬼)とは、主に仏教の影響を受けた日本の伝承に登場する妖怪・怪異です。
漢字では「陰摩羅鬼」と書かれ、「おんもらき」「おんもらけ」とも読まれます。
この妖怪は、正しく葬られなかった死者の霊や、供養されないまま残された魂が化けたものとされ、その姿や性質には怨霊的な要素が色濃く反映されています。
■ 姿と特徴
オンモラキの姿にはいくつかのバリエーションがありますが、古典や民間伝承では次のように語られています。
- 黒い煙をまとった異形の鳥のような姿
- 人面の怪鳥として描かれることもある
- 夜になると現れ、寺院や墓場の周囲をうろつく
- 鳴き声が「オンモラキ、オンモラキ」と聞こえる
その外見は地域によって異なり、「鶴のように大きく翼を広げて飛ぶもの」「足のない霧のような体を持つもの」などが語られています。
■ 由来と意味
「陰摩羅鬼」という名前は、サンスクリット語の「Amaraki(アマラキ)」または「Amarakasa(アマラカサ)」に由来するともいわれ、元来は仏教の死後の世界に関係する存在とされています。
特にオンモラキは、以下のような背景で語られることが多いです:
- 供養されなかった死者が怨霊化したもの
- 死体から発生した妖気が実体を持ったもの
- 火の玉や変化(へんげ)として目撃されることもある
■ 出現の場面と伝承
主に以下のようなシチュエーションで登場します:
- 寺の僧侶が怠惰になったとき、戒めとして現れる
- 墓の近くで意味不明な鳴き声を聞くと、その正体はオンモラキ
- 夜中の山中で火の玉を見たら、それがオンモラキだったという話も
これは、死者をないがしろにしたり、怠惰な信仰生活を送った者に警鐘を鳴らす仏教的な教訓妖怪でもあるのです。
■ 現代の受容

オンモラキは、近年ではゲームやアニメ・マンガなどにも取り上げられ、次のような要素が強調されがちです:
- 怪鳥のような見た目
- 闇から現れ、不気味な鳴き声を上げる
- 死と未練を象徴する存在として描かれる
しかし、その根底には**「死者を尊び、正しく葬る」ことの重要性**という日本文化の深い価値観があるといえるでしょう。
✅ まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
名称 | オンモラキ(陰摩羅鬼) |
分類 | 妖怪・怨霊 |
出現場所 | 寺院、墓地、山中、夜の野原など |
姿 | 人面鳥、黒い煙の怪異、火の玉など |
鳴き声 | 「オンモラキ、オンモラキ」と鳴くとされる |
主な意味 | 供養されない死者の霊、仏教的戒め |
関連する価値観 | 死者供養・正しい埋葬・怠惰への警告 |
💡補足
オンモラキは単なる怪物ではなく、**人々の信仰心や死者への配慮が薄れたときに姿を現す「警鐘的存在」**です。