空を支える巨人と神々
世界の神話を見ていると、自然現象の起源を解釈するものがあります。特に空や天体に関するものはどの文化でもみられますね。有名なところでは、以下のような伝承が知られています
あれ!?勝手にはじまってたw今回は空を統べる神や支える巨人をご紹介しますね
※お話しではなく、存在の紹介です( ゚Д゚)
空を支える巨人と神々
1. フィンランドの伝承:空を支える神々
フィンランドの伝承には、世界の柱「イルマタル」が登場します。神々が天を支えており、青い空は神々の存在を示しているとされています。青は神聖で静かな空の色として見られ、フィンランド人にとっての神々の安らぎの象徴とされました。
2. ギリシャ神話:ウーラノス
ギリシャ神話では、空は神ウーラノスそのものであるとされています。ウーラノスが地上を見守る存在として、彼の表現する空が青いと考えられました。これは、空の青さが神の穏やかさや慈愛を象徴しているとされる解釈です。
3.アトラス(ギリシャ神話)
ギリシャ神話では、アトラスという巨人が天空を支えています。彼はタイタン族であり、神々に反逆した罰としてゼウスによって空を支える役目を負わされました。アトラスは両肩に重たい空を載せて支えており、この姿が「アトラスの役割」として語り継がれています。この物語は、空を物理的に支えているというユニークなイメージを人々に与えています。
4.シュメール神話のアン(An)
メソポタミアのシュメール神話では、アン(An)は天の神であり、地上と天を分けたとされています。アンは空を支配する存在で、他の神々や自然現象を支配する力を持っていました。天と地の間に横たわる存在として描かれ、彼の存在が天の構造の中心とされました。
5.ノルド神話のイーミル(Ymir)と世界樹
ノルド神話では、最初の巨人であるイーミルが死後、彼の肉体から世界が作られました。その際、彼の頭蓋骨が空を支える「天のドーム」として使われたとされています。また、世界を支える「世界樹(ユグドラシル)」は天と地を結ぶものであり、世界の構造を支える象徴とされました。この樹が枯れると世界が滅びると信じられていました。
6.エジプト神話のヌート(Nut)
エジプト神話では、空の女神ヌートが大地を覆いかぶさるようにして空を支えています。彼女はしなやかな体を大地の神ゲブの上に広げ、夜になると彼女が星を生み出し、昼には彼女の姿が見えなくなるとされていました。ヌートは毎日ゲブに触れることなく空を維持する神秘的な存在として描かれています。
7.中国神話の盤古(Pangu)
中国の創世神話では、盤古(パンゴウ)は最初の神であり、彼が死後、その体が天地の要素に変わりました。盤古は天地を分ける役割を担い、地と天が再び閉じないように支えたとされています。彼の体が変化して山や海、空などの自然を形成し、最終的に空を安定させました。
8.日本神話の天御中主神(あめのみなかぬしのかみ)
日本の古事記には、天御中主神(あめのみなかぬしのかみ)という最初の神が登場し、宇宙の中心で天の秩序を保っているとされています。この神が天と地を創造し、それにより空が安定しました。天御中主神は天の中心に位置し、世界の調和を守る存在とされています。
これらの神話は、空を「支える」もしくは「支配する」存在としての神々が描かれており、どの文化でも空にまつわる偉大な存在が人々の畏敬の対象となってきたことが伺えます。
国や文化は違うけれど、似た存在は語られている
国や文化が異なっても、天地を創造したり、空や地を支える存在が多くの神話で共通しています。各地の神話に登場する「始まりの存在」や「天地を支えるもの」は、自然の力や宇宙の秩序を説明するために、人々がそれぞれの文化の中で独自に生み出してきたイメージです。
例えば:
- 中国の盤古は、天地を分けて自然に変化する創造の神であり、北欧のイーミルもまた死後に世界の素材へと変わる存在です。
- ギリシャのアトラスが天空を支えるのに対して、フィンランドのイルマタルや日本の神話の神々も空や天の秩序に関わる役割を持っています。
- エジプトのヌートが空を大地の上に広げている姿は、日本やメソポタミア神話で天と地を分ける神々と共通する部分があります。
これらは、自然や宇宙の仕組みを理解し、畏敬の念を持って表現しようとした人間の共通した想像力の現れです。異なる文化が同じテーマに向き合って、それぞれの独特な表現やキャラクターを生み出しているのがとても面白いですね。
ギリシャ神話のアトラス、北欧神話のイーミル、そして中国神話の盤古が、それぞれの役割で天空を支える姿
これらの神話が共通しているのには、いくつかの原因が考えられます。
1. 自然現象への畏敬と共通の経験
どの地域でも、人々は空の広がりや大地、海、山といった自然に囲まれて生活していました。そのため、自然の神秘に畏敬の念を抱き、理解しようとする気持ちが共通していたのではないかと考えられます。天地の構造や宇宙の始まりを説明する存在が必要だったため、似たような創造の神や天を支える神が誕生したのかもしれません。
2. 古代の交流と文化の伝播
古代の人々は、思った以上に遠くの地域と交流がありました。交易や移住、戦争を通じて文化が広がり、神話や物語が互いに影響を受けた可能性があります。例えば、シルクロードを通じて東西が繋がり、神話や伝説も伝播したとされています。異文化の神話が新たな土地で取り入れられ、変化していく中で似たテーマが残ったことも一因かもしれません。
3. 人間の普遍的な心理と想像力
人間の心理には共通のパターンがあり、特に「秩序と混沌」「生と死」といったテーマはどの文化でも大切にされています。宇宙を秩序あるものとして説明し、神秘的で恐ろしい自然現象に意味を与えることは、どの時代や文化でも人間が必要としてきたことです。このため、似たような構造の神話が生まれたのではないかと考えられます。
4. シンボルとしての共通の象徴
天を支える柱や大地を分ける巨人など、特定のシンボルが人々にとって理解しやすい形で使われていることも関係しているかもしれません。例えば「山」や「大樹」は地面と空を繋ぐ存在としての象徴にぴったりであり、多くの文化で「世界を支える柱」や「大樹」が登場するのは、人間が理解しやすい象徴だからだと考えられます。
こうした要素が組み合わさり、多くの文化に共通する神話の構造やキャラクターが生まれたのかもしれませんね。天地創造の物語はどれもワイルドで面白いですね。