マヤ神話~宇宙の三層構造~マヤの神話の世界観をおさらい~
ここから先のマヤ神話は、次のことを念頭に置いてもらえると断然わかりやすくなります!
マヤ神話では宇宙は3層からなる循環する世界
宇宙の三層構造は、宇宙の秩序や調和を説明する基本的な枠組みです。この三層構造は、**天界(上層)、地上界(中層)、冥界シバルバ(下層)**から構成され、すべての層が相互に影響し合いながら存在しています。
以下、それぞれの層について詳しく説明します。
1. 天界(13の天層)
概要
- 天界は、神々が住む神聖な領域であり、マヤ宇宙観の中で最も高い位置にあります。
- 13層に分かれているとされ、それぞれに異なる神々が住み、宇宙の運行や生命の誕生に影響を与えます。
特徴
- 神々の住処
天界には、創造神フナル・フウィツィル、テペウ、グクマツといった主要な神々が住み、宇宙の秩序を保っています。 - 星々と天体の運行
天界は、太陽、月、星々が運行する場所としても認識されています。これらの天体は、時間や季節の循環を象徴しています。 - 聖なる木とのつながり
天界は、宇宙の中心に立つ「セイバの木(ワカチャン、世界樹)」によって地上界や冥界と結ばれています。この木は、天界のエネルギーを地上界に伝える役割を果たします。
2. 地上界(人間と自然の世界)
概要
- 地上界は、人間、動物、植物が住む現実世界です。神話の多くの出来事は、この地上界を舞台に展開されます。(前回までは地上界ができるまでをお話ししました。)
特徴
- 人間の居場所
地上界は、神々がトウモロコシから人間を創造し、その生活の場として作られました。 - 自然との調和
地上界は、山々、川、森、平原などの自然の要素が豊富に含まれており、マヤ人の生活や信仰と深く結びついています。自然界の循環は、天界や冥界の影響を受けています。 - 儀式の中心
マヤの人々は、地上界に住みながら天界や冥界の神々とつながるために、神殿や祭壇を建てて儀式を行いました。これにより、三層の宇宙の調和を保とうとしました。
3. 冥界シバルバ(地下の死者の世界)
概要
- 冥界シバルバは、死者の魂が行く場所であり、試練と混沌が支配する世界です。
- 地下の世界とされ、恐ろしい支配者たちが住む暗く危険な領域です。
特徴
- 試練と罰の場
冥界は、死者が魂の浄化と試練を受ける場所とされます。ここで試練を克服できた者だけが、再生の循環に戻ることができます。 - 支配者たちの存在
シバルバは、フンカメ(1つ目の死)とヴクブカメ(7つ目の死)を中心とする支配者たちが統治しています。彼らは恐怖と混沌を象徴します。 - 暗く恐ろしい環境
シバルバは、暗闇、沼、鋭い岩などが広がる不気味な風景で描かれ、生命が容易に生存できない場所です。
三層をつなぐセイバの木(世界樹)
マヤ神話では、**セイバの木(Ceiba)**と呼ばれる世界樹が、天界、地上界、冥界をつなぐ中心的な役割を果たします。
特徴
- 天界と地上界の橋渡し
セイバの木の枝は天界に伸びており、神々の力が地上に流れ込む通路となっています。 - 地上界の中心
木の幹は地上界に立ち、人々の生活と儀式の中心を象徴します。 - 冥界への通路
木の根は冥界に向かって深く伸び、魂が地上から冥界へ行く通路として機能します。
この木は、宇宙の調和と三層の相互関係を象徴する重要な存在です。
三層構造の象徴性
マヤの三層構造は、単なる物理的な空間の区分ではなく、宇宙全体の調和を表しています。
- 天界: 創造、秩序、神聖さ
- 地上界: 人間の生活、自然、循環
- 冥界: 試練、混沌、再生の始まり
※宇宙という言葉がしっくりこない場合は、今でいう「世界(地球)」の意味としてみてもらうとしっくりくると思います。地球儀とか惑星とかの絵をみて慣れていると少し分かりにくい部分があると思います。
マヤ神話における三層構造は、宇宙の運行や人間の生き方に深い意味を与える枠組みです。この三層は、生命と死、秩序と混沌、再生と変化といった相反する要素が調和して存在することを教えてくれます。
次回からは再び神話をご案内します。