日本神話1:イザナギとイザナミ|日本神話におけるオノゴロ島での結婚儀式を解説WITH柴犬
前回の「天地の始まりと最初の神々」続きです。
イザナギとイザナミの登場
宇宙が形をなし始め、天と地が分かたれた後のこと。高天原(たかまがはら)という神々の住む天界では、ある時、大いなる決定が下されました。
「地上にはまだ形がなく、混沌が続いている。そこに秩序と命をもたらす者が必要だ。」
こうして神々は相談の末、二柱の神を選びました。それが イザナギ(伊邪那岐) と イザナミ(伊邪那美) です。
天の浮橋と天の沼矛(あめのぬぼこ)
「あなたたちには、未完成の地上を形づくる役目を与える。」
神々の命を受けたイザナギとイザナミは、高天原から見下ろす「天の浮橋」に導かれました。
二人に手渡されたのは、神々が授けた神秘の道具 「天の沼矛」(あめのぬぼこ)でした。この長い矛を持ち、二柱は橋の上から混沌とした下界を見下ろします。
「この矛で混沌をかき混ぜ、そこに大地を生み出そう。」
イザナギが矛を静かにかざし、混沌とした海のようなものを掬い上げました。その矛から滴り落ちた塩のしずくが、次第に固まり、ひとつの島を形成します。これが オノゴロ島(おのごろじま)の誕生でした。
オノゴロ島での結婚
二柱はオノゴロ島に降り立ち、その中心に大きな柱を建てました。この柱を「天の御柱(あめのみはしら)」と呼び、そこを起点にして共に国を生むための準備を整えます。
「この柱の周りを回り、夫婦となりましょう。」
イザナミがそう提案し、二人は柱を挟んで向かい合い、それぞれ逆方向に回り始めました。そして、再び出会った時に互いの名前を呼び合いました。
「なんと素晴らしいお方でしょう!」
イザナミが先にイザナギに言葉をかけました。しかし、これが少し問題だったのです。神々の掟では、男性が先に言葉をかけるべきだったからです。そのため、最初に生まれた子供は不完全な存在とされ、海に流される運命を辿ります。
この失敗を受けて、二柱は再び天の神々に助言を求め、もう一度儀式をやり直します。今度はイザナギが先に言葉をかけたことで、ようやく正式な夫婦となり、国生みが始まります。
まとめ:命を紡ぐ最初の二柱
イザナギとイザナミの登場は、日本神話における「国生み」と「神生み」の始まりを象徴しています。彼らの冒険と試練の物語は、秩序を形づくり、命を生み出す責任の重さを教えてくれるものです。