古典攻略|源氏物語『葵(あおい)』解説|【受験対策】With柴犬
「葵」は、源氏物語の中で光源氏の正妻・葵の上との関係が描かれる章です。この章では、六条御息所の嫉妬と怨念が葵の上に影響を及ぼし、最終的には悲劇的な結末を迎える場面が描かれます。葵の上との不和や六条御息所との愛憎関係が複雑に絡み合い、光源氏の人間性や女性たちの心理が深く掘り下げられる重要な章です。
簡単なあらすじ
光源氏と正妻・葵の上は、結婚しているものの関係は冷え切っており、互いに愛情を感じられない状態です。一方で、六条御息所は光源氏に対する嫉妬と執着を募らせます。
葵祭(賀茂祭)の際、六条御息所の牛車と葵の上の牛車が衝突する事件(「車争い」)が起こり、これが六条御息所の屈辱と怒りを増幅させます。
その後、六条御息所の怨念が葵の上に取り憑き、葵の上は体調を崩してしまいます。
その後、葵の上は光源氏との子供(長男)「夕霧(ゆうぎり)」を出産しますが、命を落とし、光源氏は深い後悔と悲しみに襲われます。
受験頻出ポイント
- 葵の上の人物像
- 葵の上は高貴な家柄の女性でありながら、光源氏との結婚生活において不幸を感じています。
- 原文: 「さるべき御筋にはあらねど、いとけざやかにをかしきことも多かりける人なり。」
- 現代語訳: 「そのような身分の出ではないが、とても際立って趣深い部分が多い女性であった。」
- ポイント:葵の上の気高さと彼女が感じていた不満が、物語全体の背景として重要。
- 車争いの場面
- 六条御息所と葵の上の牛車が葵祭で衝突する場面。
- 原文: 「心やすからぬ人、もの思ひしとて、いとあやにくなることどもを仕うまつりけるにや。」
- 現代語訳: 「心穏やかではない人が、物思いに沈む中で、とても不愉快な出来事が起きた。」
- ポイント:この場面は六条御息所の嫉妬心を象徴的に表現。
- 六条御息所の怨念
- 六条御息所の嫉妬が怨念として葵の上に影響を与える。
- 原文: 「もののけの心地して、なやみわたるに。」
- 現代語訳: 「もののけに取り憑かれたような状態で、苦しみ続けていた。」
- ポイント:六条御息所の怨念が超自然的な力を持つ象徴的な場面。
- 葵の上の死
- 出産後に亡くなる葵の上は、物語の転換点となる。
- 原文: 「世にありしほども、心にくき御ありさまを思ひ出でたまふに。」
- 現代語訳: 「生きていた頃の、奥ゆかしいご様子を思い出しながら。」
- ポイント:葵の上の死後、光源氏が抱く後悔と悲しみが、彼の成長や変化に影響を与える。
試験対策に役立つポイント
- 葵の上の象徴性
- 葵の上は、高貴さと儚さを兼ね備えた人物として描かれ、試験では彼女の心理や立場が問われやすい。
- 六条御息所の怨念
- 六条御息所の怨念は物語全体での「嫉妬」の象徴。
- 特に車争いや葵の上の死との関連で出題されることが多い。
- 覚えるべき古典単語
- あやにくなり:意地が悪い
- もののけ:霊的な存在や怨霊
- なやむ:苦しむ
- 心にくし:奥ゆかしい
例題:読解問題
- 次の文章を読み、問に答えなさい。
- 原文: 「もののけの心地して、なやみわたるに。」
- 問1:この文章で「もののけの心地して」が示す六条御息所の感情と行動を説明しなさい。
- 回答:「六条御息所の嫉妬が怨念となり、葵の上に霊的な影響を与えたこと。」
- 問2:「なやむ」の意味を答えなさい。
- 回答:「苦しむ、悩む」という意味。
- 次の文章を参考に、葵の上の死が光源氏に与えた影響を現代語で述べなさい。
- 原文: 「世にありしほども、心にくき御ありさまを思ひ出でたまふに。」
- 回答:「葵の上の奥ゆかしい姿を思い出し、光源氏が深い後悔と悲しみを抱いた。」
まとめ
「葵」は、源氏物語の中で六条御息所の嫉妬と怨念が顕著に表れる章です。葵の上の死や車争いの場面を通じて、光源氏や周囲の女性たちの関係性が深く描かれています。試験対策では、これらの象徴的な場面と心理描写を理解することが重要です。