古典攻略|源氏物語『須磨(すま)』解説|【受験対策】With柴犬
「須磨」は、源氏物語の中で光源氏が京を離れ、須磨の地に隠棲する物語の重要な転換点です。
光源氏が藤壺の宮(継母)との密通やその結果生まれた冷泉帝に関する罪悪感、さらに政敵との対立によって都を追われることになります。
※今回はサラッと流します。
この章では、光源氏の孤独や罪の意識が描かれる一方で、須磨の地での神秘的な出来事が物語に新たな展開をもたらします。
簡単なあらすじ
光源氏は藤壺の宮との密通が公になることを恐れ、また政敵たちの圧力を避けるため、都を離れて須磨に隠棲します。須磨では、都での華やかな生活とは一転し、寂しさと孤独に苛まれる日々を送ります。
ある日、激しい嵐が須磨を襲い、その中で光源氏は亡き父である桐壺帝の霊夢を見ます。
その霊夢によって、光源氏は都への帰還と新たな運命の暗示を受けます。
この出来事を契機に、光源氏は明石の君と出会い、後の物語につながる重要な関係が始まります。
受験頻出ポイント
- 須磨隠棲の背景
- 光源氏が須磨へ隠棲する理由として、藤壺の宮との密通の罪悪感や政敵との対立が挙げられます。
- 原文: 「まことにやむごとなき御筋にて、世をあぢきなく思しおきたることの末に。」
- 現代語訳: 「本当に高貴な身分でありながら、世の中を苦々しく思ってきた結果として。」
- ポイント:光源氏の罪の意識と政治的背景を理解することが重要です。
- 須磨での孤独
- 都での華やかな生活と対照的な孤独が強調されます。
- 原文: 「山川に向かひゐたる、思ふことなくすさまじきに。」
- 現代語訳: 「山や川を眺めていると、心に思うこともなく、もの寂しく感じられる。」
- ポイント:須磨での孤独な生活が光源氏の内面的な成長を暗示します。
- 嵐と桐壺帝の霊夢
- 須磨を襲う嵐の中で、光源氏は桐壺帝の霊夢を見ます。
- 原文: 「いと恐ろしく、夢の心地にも覚えざりければ。」
- 現代語訳: 「非常に恐ろしく、夢の中の出来事とは思えなかった。」
- ポイント:霊夢が光源氏の運命を変える象徴的な出来事であること。
- 明石の君との出会い
- 嵐の後、明石の君との出会いが物語の新たな展開を示唆します。
- 原文: 「かの明石の君を思しおこせば、いと心やすきこと多かりけり。」
- 現代語訳: 「明石の君を思い出すと、心が安らぐことが多かった。」
- ポイント:明石の君との関係が後の物語の伏線となる。
試験対策に役立つポイント
- 須磨の象徴性
- 須磨は、光源氏が孤独や罪を通じて自己を見つめ直す場所として描かれています。
- 都での華やかな生活との対比が重要です。
- 嵐と霊夢の象徴性
- 嵐は光源氏の内面的な混乱や苦悩を象徴。
- 桐壺帝の霊夢は、新たな運命の予兆として重要な役割を果たします。
- 覚えるべき古典単語
- あぢきなし:つまらない、苦々しい
- すさまじ:もの寂しい
- 恐ろし:恐れ多い
- 心やすし:安心できる
例題:読解問題
- 次の文章を読み、問に答えなさい。
- 原文: 「山川に向かひゐたる、思ふことなくすさまじきに。」
- 問1:この文章が示す光源氏の心情を答えなさい。
- 回答のポイント:須磨での孤独と寂しさを表している。
- 次の文章を参考に、桐壺帝の霊夢が光源氏に与えた影響を現代語で述べなさい。
- 原文: 「いと恐ろしく、夢の心地にも覚えざりければ。」
- 回答のポイント:桐壺帝の霊夢が、光源氏に都への帰還と新たな運命を予感させた。
まとめ
「須磨」は、光源氏が自らの過去を見つめ直し、新たな運命を受け入れるための重要な章です。須磨での孤独な生活や嵐の象徴性、桐壺帝の霊夢、そして明石の君との出会いなど、物語の転換点となる出来事が詰まっています。試験対策では、これらの象徴的な場面と心理描写を理解することが大切です。