中国・日本・アステカ・マヤ・インドの地獄を比較!死後の世界の罰とは?
本記事では、前回に引き続き、各文化における「地獄」について解説します。
今回は、中国道教、日本、アステカ、マヤ、インドの地獄について詳しく見ていきますね。
6. 中国道教の地獄(地府 / Diyu)

特徴:
- 仏教の影響を受けつつ、独自の裁判制度を持つ。
- 十王(閻魔大王など)が裁きを行う。
説明: 中国の地府は、仏教の奈落と似た構造を持ち、罪人が十殿閻羅によって裁かれ、それぞれの罪に応じた地獄へ送られます。罪の重さによっては、様々な罰を受けることになります。
構造:
- 十殿閻羅(10の裁き)と18の地獄がある。
罰の内容:
- 石臼で潰される、煮えたぎる油で茹でられる、舌を引き抜かれる。
7. 日本の地獄(地獄 / Jigoku)

特徴:
- 仏教・神道の影響を受けた独自の地獄観。
- 閻魔大王が裁きを行い、生前の罪に応じた刑罰を受ける。
説明: 日本の地獄は、仏教の影響を受けており、八大地獄の概念があります。罪人は生前の行いによって罰を受け、最も重い罪を犯した者は阿鼻地獄に落ちるとされます。
構造:
- 八大地獄(等活地獄、阿鼻地獄など)と、それに細分化された小地獄。
罰の内容:
- 火に焼かれる、刀で切り刻まれる、鬼に責められる。
8. アステカ神話の地獄(ミクトラン / Mictlan)

特徴:
- 普通の死者が通る死後の旅路。特に戦士や女性の死後の行き先とは異なる。
説明: アステカ神話における地獄、ミクトランは、死後に魂が9つの試練を乗り越える旅をしなければなりません。死者の旅が終わると、魂は最終的に休息に至ります。
構造:
- 9つのレベルを経て最終的に魂が安息に至る。
罰の内容:
- 風に吹き飛ばされる、猛獣に襲われる、ナイフの山を通り抜ける。
9. マヤ神話の地獄(シバルバー / Xibalba)

特徴:
- 闇の神々が支配する恐怖の世界。試練を乗り越えないと魂は苦しむ。
説明: シバルバーはマヤ神話における死者の国であり、多くの恐怖の家(試練)が用意されています。生前に勇敢な者や知恵のある者は、この試練を乗り越えられるとされています。
構造:
- 6つの恐怖の家(暗闇の家、氷の家、ジャガーの家など)。
罰の内容:
- 闇に閉じ込められる、極寒に晒される、怪物に襲われる。
10. インド神話の地獄(ナラカ / Naraka)

特徴:
- ヤマ神が裁き、罪に応じた地獄へ送る。
- 仏教の奈落と類似。
説明: ナラカは、インド神話における地獄であり、死後にヤマ神によって裁かれます。ここでは21の異なる地獄が存在し、それぞれの罪に応じた罰を受けるとされています。
構造:
- 21の地獄があるとされる。
罰の内容:
- 熱鉄で焼かれる、鋭い剣で切り刻まれる、氷の地獄に閉じ込められる。
まとめ
地域 / 宗教 | 名称 | 階層構造 | 罰の内容 |
---|---|---|---|
中国道教 | 地府 | 10王・18地獄 | 焼かれる、舌を抜かれる |
日本 | 地獄 | 8大地獄 | 鬼に責められる |
アステカ | ミクトラン | 9層 | 風、猛獣、刃物 |
マヤ | シバルバー | 6つの試練 | 闇、氷、怪物 |
インド | ナラカ | 21地獄 | 鉄焼き、氷、斬殺 |
このように、後編で紹介した各文化の地獄も、それぞれ異なる信仰や伝承が反映されており、独特な罰の概念が形成されています。
追記:各地獄の階層を比較
世界各地の地獄には、それぞれ独自の階層構造が存在し、罪の重さによって異なる罰が与えられるという共通点があります。
各地獄の階層比較
地域 / 宗教 | 名称 | 階層構造 | 特徴 |
---|---|---|---|
仏教 | 奈落(Naraka) | 8大地獄(さらに細分化あり) | 六道輪廻の一環で、罪に応じた地獄に落ちる |
キリスト教 | Hell(Inferno) | 9層(ダンテの『神曲』) | 罪の種類ごとに異なる罰が与えられる |
イスラム教 | ジャハンナム(Jahannam) | 7層 | 罪の重さに応じて7つの階層に分かれる |
ギリシャ神話 | タルタロス(Tartarus) | 冥府(ハデス)の一部 | 深い奈落で反逆者や罪人が閉じ込められる |
北欧神話 | ヘルヘイム(Helheim) | なし(単一の冥界) | 病死や老衰で亡くなった者が行く寒冷な地獄 |
中国道教 | 地府(Diyu) | 10王・18層の地獄 | 十王によって裁かれ、それぞれの罪に応じた層へ送られる |
日本 | 地獄(Jigoku) | 8大地獄(細分化あり) | 閻魔大王の裁きにより、罪人が相応の地獄に落ちる |
アステカ神話 | ミクトラン(Mictlan) | 9層 | 死後の旅路として9つの試練を経る |
マヤ神話 | シバルバー(Xibalba) | 6つの試練の家 | 恐怖の家(暗闇の家、氷の家など)を通り抜ける |
インド神話 | ナラカ(Naraka) | 21層 | ヤマ神による裁きで様々な地獄に送られる |
どの地獄も「罪の重さに応じて異なる罰を受ける」という共通点があり、文化や宗教ごとにその解釈が異なるのが面白いですね!