アーサー王伝説 | 第5章 巨人討伐と聖地の救済 ― モン・サン=ミッシェルの戦い
キャメロットに円卓の秩序が整い、王妃グィネヴィアとの結婚も祝福される中、 ブリテンには一つの凶報が届いた。
「フランス北西の聖地モン・サン=ミッシェルが、巨人に襲われている――」

モン・サン=ミッシェルは神に仕える修道士たちの拠点であり、巡礼者の聖地でもあった。 だが、山のように大きな巨人がそこに巣食い、人々をさらい、女子や子どもを喰らっているというのだ。
■ 王、たった一人で出陣す
諸侯は恐れをなして沈黙し、騎士たちも言葉を失う中、アーサー王は静かに立ち上がった。
「ならば、我が身一つで行こう。神の地に、正義を戻すために。」

17歳の若き王は、聖剣エクスカリバーを腰に携え、馬を駆ってフランスへ渡った。
■ 修道院に現れた巨人
月の光が差す夜、アーサーはモン・サン=ミッシェルの麓に到着。 すでに村は廃墟と化し、焼け落ちた礼拝堂の前に、
“巨人ルボール” が、犠牲者の骨を積み上げていた。
その身体は岩のようにごつごつとし、腕は大木のよう。 吐く息は火のように熱く、目は血のように赤かった。
■ 激突 ― 王と巨人の死闘
アーサーは恐れず、剣を抜き、巨人の前へ進む。
「神の名を汚すものよ。我が剣を受けよ。」

巨人の振り下ろした拳が地を裂くが、アーサーは舞うようにかわし、 稲妻のような剣閃を幾度となく浴びせた。
戦いは一晩におよび、最後には、アーサーの渾身の一撃が巨人の喉を貫いた。
その瞬間、山が崩れるような轟音と共に、巨人は倒れ、モン・サン=ミッシェルの夜に静寂が戻った。

■ 誓いの光
アーサーは残された修道士たちと共に祈りを捧げ、犠牲者の魂を弔った。
「王とは、剣を振るう者ではなく、民の苦しみに立ち向かう者であれ。」

若き王はそう心に誓い、聖剣を空へと掲げた。
この戦いは、王としての威厳と信義を示した象徴となり、 アーサーの名は海を越えて世界に響き渡ることとなった。
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主人公は、アーサー王伝説でおなじみの偉大な魔法使いマーリン……ではなく、その愛犬のハナキキ。こっそり魔法を習い、魔法の石の力で人間の言葉も話せます。ある日、マーリンが謎の集団にさらわれてしまい、ハナキキは愛する家族を救うため、追跡の旅へ! はたしてマーリンを助け出すことができるのか? そして伝説の剣、エクスカリバーをぬくのはいったい……?!
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