アーサー王伝説 第6章|皇帝ルキウスとの戦い ― ローマ帝国に挑んだ若き王の栄光
モン・サン=ミッシェルの戦いにおいて巨人を討ったアーサー王の名は、海を越えて欧州全土に鳴り響いた。
だがその栄光が、やがてさらなる戦火を呼び寄せる。
ローマ帝国――。 その皇帝ルキウスは、かつてブリテンがローマの属州であったことを理由に、アーサーへ使者を送りつける。
「ブリテン王よ、我らに貢納せよ。さもなくば、武力をもって従わせよう。」

傲慢な文言に、諸侯たちは憤り、騎士たちは剣を握った。 だがアーサー王は静かに応じた。
「ならば剣で語ろう。正義は、我らにある。」
■ 騎士団の召集と出陣
王は円卓の騎士たちを集め、ブリテン軍を編成。 ガウェイン、ケイ、ベディヴィア、ルーカン、グリフレットら初期の忠臣たちが再び王のもとに集結した。
軍はフランスへ渡り、ガリアの地でローマ軍と対峙。 アーサー王の陣は整然とし、騎士たちは王の背に誓いを立てていた。

「この剣は、我がためではない。民と、未来のために。」
■ 大戦 ― ガリア決戦
皇帝ルキウスは象兵や投石機などを配備した大軍を率いていた。 その軍勢はブリテン軍の数倍におよんだとされる。

だがアーサーの采配と騎士たちの奮戦によって、戦況は次第にブリテン側へ傾いていく。
特にガウェインの剛剣は敵将をことごとく斬り伏せ、ベディヴィアの機動戦術は敵軍を混乱に陥れた。
最後には、アーサー王とルキウス皇帝の一騎討ちが行われた。

「お前の王座は虚栄によって築かれた。我が剣は、信義によって振るわれる。」
激闘の末、アーサー王がエクスカリバーで皇帝を打ち倒し、ローマ軍は潰走。
■ 栄光の頂点、だがその先に

戦いはブリテンの勝利に終わり、アーサーは欧州諸国の王たちから敬意と忠誠を捧げられることとなった。
だが、この勝利こそが、アーサー王の絶頂であった。 その背後には、ゆっくりとほころび始める円卓の絆が、静かに広がっていた。
【アーサー王物語 (偕成社文庫)/ジェイムズ・ノウルズ 著】
中世の騎士道と伝説が息づく、永遠の名作――。
円卓の騎士たち、聖剣エクスカリバー、魔術師マーリン、そしてアーサー王の壮絶な運命……。
本書は、イギリスの作家ジェイムズ・ノウルズが紡いだアーサー王伝説の名作を、児童文学の名門・偕成社がわかりやすく訳し、文庫サイズで手軽に楽しめる一冊にまとめたものです。
勇気と裏切り、栄光と悲劇が交差する物語は、大人が読んでも心揺さぶられる内容です。歴史や神話に興味のある方には特におすすめです。
商品ページはこちら → アーサー王物語 (偕成社文庫)