堕天使とは?ルシファーに代表される天から堕ちた天使たち【聖書・悪魔学・日本比較】
堕天使とはなんぞや・・・今回は改めて記事にしてみました。
堕天使とは、本来は神に仕える天使でありながら、反逆や罪によって天から追放された存在を指します。聖書や外典では、彼らは「かつて光に属していたが、栄光を失った存在」として描かれ、単なる悪魔とは異なる二面性を持っています。
最も有名なのがルシファーです。彼は「明けの明星」と呼ばれるほど輝かしい天使でしたが、神と並び立とうとした傲慢さのゆえに堕とされ、後にサタンと同一視されるようになりました。
また『エノク書』では、人間の女性に惹かれた天使たちが禁を破って地上に降り、巨人ネフィリムを生んだと語られています。彼らは人間に武器や化粧といった禁断の知識を与えたため、神の怒りを買い堕天しました。
代表的な堕天使
堕天使には固有の名前を持つ存在が数多く伝わっています。代表的なものをいくつか挙げてみましょう。

- ルシファー(Lucifer):最も有名な堕天使で、反逆の象徴。
- ベルゼブブ(Beelzebub):蝿の王。天界の高位から堕ちた存在とされる。
- アザゼル(Azazel):人間に禁断の技術を与えた堕天使。
- サマエル(Samael):死の天使とも呼ばれ、アダムとイヴの堕落に関与したとされる。
こうした存在は、ただ「悪魔」として恐れられるだけでなく、人間と同じように葛藤し、失墜した存在としてドラマ性を帯びています。
ソロモン72柱と堕天使
中世以降、堕天使の物語は「ソロモン72柱の悪魔」という悪魔学体系に組み込まれました。これらの悪魔は必ずしも全員が堕天使というわけではありませんが、かつて天にいた者として語られることも多いのです。

- アスモデウス(Asmodeus):色欲を司る悪魔。『トビト書』に登場し、堕天使と結びつけられた。
- バエル(Bael):72柱の第一位。古代神格が悪魔学の中で堕天使として再解釈された。
- ベルフェゴール(Belphegor):怠惰を象徴する悪魔。もとは聖性を持っていた存在ともされる。
日本文化との比較
堕天使の概念は西洋独自のものですが、日本にも「天から追われた存在」が見られます。

- 天狗:慢心した高僧が死後に天狗になるとされ、「天から落ちた者」という堕天使的な性質を持っています。
- 須佐之男命(スサノオ):高天原から追放された神。反逆と追放という堕天使的モチーフが重なります。
文学と現代文化に生きる堕天使

ジョン・ミルトンの叙事詩『失楽園』は、堕天使像を大きく広めた作品です。ここではルシファーが「自由を求めた悲劇の英雄」として描かれ、単なる悪の象徴ではなく、人間的な弱さや意志を持つ存在として表現されています。
この二面性は現代においても魅力的に映り、アニメや小説、ゲームなどでは「美しくも悲劇的なキャラクター」として堕天使が数多く登場します。
まとめ
堕天使とは、神に仕えながらも反逆によって追放された天使たちのこと。ルシファーやアザゼルといった名を持つ存在から、ソロモン72柱の悪魔など、世界各地に「天から堕ちた者」の物語が残されています。
栄光からの転落、神に背く意志、人間に近い弱さ――堕天使の姿は時代や文化を超えて人々を惹きつけ、現代でもなお魅力的なテーマであり続けているのです。








