北海道の怖い伝承「トペカムイ」とは?子どもをさらう戸閉神の正体
北海道には、アイヌの人々が語り継いできた多くの不思議な神や妖怪の伝承が残っています。その中でも、子どもを震え上がらせた存在が トペカムイ(戸閉神) です。
名前の意味は「戸を閉める神」。その名の通り、戸を閉め忘れた者や、夜遅くまで遊んでいる子どもを狙うといわれてきました。
トペカムイの姿と恐ろしさ
トペカムイは夜の闇とともに現れる神で、戸を開け放した家を探し歩くと伝えられています。
姿については地方によって異なりますが、

- 人のような形で目がぎらぎらと光る
- 大きな袋を背負って子どもをさらう
- 口を大きく開き、生きたまま飲み込む
などの恐ろしいイメージで語られてきました。
なぜ「戸を閉める神」なのか
一見するとただの脅し話ですが、背景には生活の知恵が隠れています。

- 北海道の厳しい自然
戸を閉め忘れると、寒風や獣が入り命を落とす危険がある。 - 子どものしつけ
「夜に遊んでいるとトペカムイが来る」という教えで、子どもを守った。 - 夜の闇への畏れ
人々は暗闇そのものを「神」として恐れ、警戒した。
他地域との比較
日本各地にも似た存在がいます。
- 秋田の なまはげ(怠け者を戒める鬼)
- 夜泣き石や子取り鬼の伝承(夜更かし禁止の戒め)
トペカムイは、北海道独特の自然環境から生まれた「しつけ神」として、この系譜に連なります。
現代に残る教え

現代の私たちから見ると「子どもを脅す昔話」ですが、そこには 戸締まり・夜の安全・自然への畏れ が込められています。
つまりトペカムイは、恐怖と同時に「命を守るための教え」を担った存在だったのです。
こういう怪談めいた伝承は、子供のためを思って作られた話が多いところを考えると、温かみも感じますね。










