やまのけとは?平安時代の説話に登場する山の怪異とその正体

むかし、山は人々にとって神聖でありながらも恐ろしい場所でした。道に迷えば二度と帰れず、毒気を吸えば命を落とす。

そんな「不可思議」を説明するために、人々は山に霊がひそむと考え、それを「やまのけ」と呼んだのです。

『今昔物語集』に語られるやまのけ

平安時代の説話集『今昔物語集』には、やまのけにまつわる話がいくつか記されています。

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ある武士が山へ狩りに出かけたときのこと。獲物を追い、森の奥へと足を踏み入れると、突如として全身が重くなり、体が動かなくなってしまいました。仲間に抱えられて里へ戻ったものの、高熱にうなされ、うわ言をつぶやき続けます。

医師も祈祷師も手を尽くしましたが治らず、「これはやまのけに憑かれたのだ」と噂されました。

そこで陰陽師が呼ばれ、呪文を唱え、供物を山の神に捧げると、やがて武士は正気を取り戻したといいます。


やまのけの正体

やまのけは姿を持つ妖怪というよりも、目に見えぬ「気」や「祟り」として描かれます。

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  • 山の瘴気(毒気)を吸い込み体を壊すこと。
  • 道に迷い、幻覚や錯乱に陥ること。
  • 山の神や精霊の怒りを買うこと。

これらが「やまのけに遭った」と表現されたのです。


修験者とやまのけ

修験道の行者たちにとっても、やまのけは試練でした。

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険しい山中で苦行を行うと、幻や怪異が現れます。これをやまのけの仕業と考え、真言や法力で退けることが修行の一環とされました。

つまりやまのけは、ただの怪異ではなく、人を鍛え、心を試す存在でもあったのです。


人々に残した教え

やまのけの伝承は、「山を軽んじてはならない」という戒めを今に伝えています。山は命を育む恵みの場であると同時に、人を試す恐ろしい場所でもある。人は山に入るとき、畏れと敬意を忘れてはならないのです。


まとめ

「やまのけ」は、山の不可思議を象徴する存在として語り継がれてきました。病や迷いをもたらす恐ろしい怪異でありながら、同時に人々に山への畏敬を教えてくれる存在でもあります。

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登山の際は万全の準備と気を引き締めて楽しんでくださいね。

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