世界の“宝石を持つ怪異”6選|民話に残る光る獣・宝珠霊・守護精の伝承とは?
宝石は古来より「霊力」「富」「守護」の象徴とされ、世界中の民族が宝石と怪異を結びつけてきました。
本記事では、ゲームやファンタジー由来の“創作精霊”は一切除外し、文献・民俗資料に登場する“本物の宝石怪異”だけ厳選して紹介します。
南米の光る動物、インドの宝珠を持つ蛇神、アジアの龍珠――宝石をめぐる伝承は、人々の願いと恐れが生んだ物語そのものです。
さっそく見ていきましょう。
1. カーバンクル(Carbunco)|南米アンデスに棲む“赤い宝石獣”
出典:アコスタ『インディア自然史』(1590)、アンデス民話

カーバンクルは、スペイン人がアンデスで記録した怪異で、
- 額に赤い宝石のような光
- 近づくと不幸が起こる
- 小型の動物の姿
- 非常にすばしっこい
と記述されています。
「宝石を持つ怪異」と聞けば真っ先に名前が挙がる存在で、南米伝承の中でも特にミステリアスな妖獣です。
※後世のゲームなどの“宝石の精霊”は創作であり、**本来は“動物型怪異”**です。
2. ナーガ(Nāga)の宝珠“ナーガ・マニ”|インド圏の蛇神が持つ聖なる光玉
出典:『マハーバーラタ』『ヴィシュヌ・プラーナ』ほか多数

ナーガはインド〜東南アジアの蛇神。
その中でも語られることが多いのが **ナーガ・マニ(Naga-Mani)**という宝珠。
- 手にした者に富と霊力を授ける
- 奪う者には災厄が降りかかる
- 暗闇を照らす光を放つ
ナーガ伝説はアジア圏に広く根づいており、
**「宝珠を守る怪異」**として古文献に多数登場します。
3. 龍の宝珠(竜珠)|中国〜日本の龍神が持つ“如意宝珠”
出典:『抱朴子』『山海経』『日本霊異記』ほか

龍が持つ珠は地域によって呼び名が変わりますが、
いずれも霊力の象徴。
- 如意宝珠(中国)
- 龍珠(日本)
- Cintamani(インド・仏教圏)
竜珠は、
雨を呼ぶ・天候を司る・富をもたらす
など自然の力と結びつけられ、
アジアで最も神聖視される宝玉のひとつです。
4. ヤクシャ(Yaksha)|宝石と財宝を守る守護精(インド)
出典:インド叙事詩『ラーマーヤナ』『マハーバーラタ』、仏典

ヤクシャは自然精霊に近い存在ですが、
特に “金銀財宝・宝石の守り手” として描かれることが多いです。
- 洞窟や森に棲む
- 宝物を守る役目
- 美しい姿と恐ろしい姿の両面を持つ
仏教では四天王に従う護法善神として扱われるなど、
宝石との関係が非常に深い存在です。
5. ルサールカ(Rusalka)|東欧の“水底の光”をまとう霊
出典:スラヴ民俗誌、ロシア・ウクライナ口承

ルサールカは美しい水の精霊として語られますが、
地方によっては 水底の宝物と結びつけられ、
宝石のように輝く髪を持つ と記述される場合があります。
- 夜に水辺で髪が光る
- 男を誘う
- 水底の財宝の象徴としても扱われる
“宝石を持つ”というより
“宝石のような光を身に宿す怪異” として分類できます。
6. ペリ(Peri)|ペルシアの宝石をまとう光の精霊
出典:ゾロアスター教・ペルシア文学(シャー・ナーメなど)

ペリは美しい翼を持つ天使的存在ですが、
その服装・装飾がしばしば
- 宝石のきらめき
- 光る宝玉
- 虹色の宝衣
として描かれます。
特に古いペルシア詩では
**「宝玉の輝きを帯びた存在」**として語られ、
自然霊というより“光の精霊”に近い位置づけ。
宝石との関連は歴史的に深いです。
まとめ:宝石は“霊力の象徴”として怪異に宿ってきた
本記事で紹介した6体は、いずれも民俗資料・古典文献に記録のある本物の伝承だけを厳選しています。
宝石はただの価値物ではなく、“人智を超えた力の象徴”として怪異に持たせられてきたのだと言えるでしょう。










