四大女悪魔とは?――リリスを中心とした夜の系譜
「四大女悪魔(よんだいおんなあくま)」とは、主にユダヤ神秘思想(カバラ)や中世以降の悪魔学において語られる、四柱の女性悪魔を指す呼称です。
彼女たちはいずれも「夜」「誘惑」「夢」「人の理性を揺さぶる存在」として描かれ、単なる怪物ではなく、人間の欲望や不安を象徴する存在として語られてきました。
特にリリスを中心に、その周囲に配置される形で体系化されることが多く、以下の四柱が「四大女悪魔」として挙げられます。
四大女悪魔の一覧
- リリス(Lilith)
- ナアマ(Naamah)
- アグラト・バト・マハラト(Agrat bat Mahlat)
- エシェト・ゼヌニム(Eisheth Zenunim)
それぞれの存在について、順に見ていきましょう。
リリス(Lilith)
――最初の女、夜の女王

リリスは、四大女悪魔の中でも最も有名な存在です。
ユダヤ伝承では「アダムの最初の妻」とされ、従属を拒んで楽園を去った存在として語られます。
彼女は以下のような特徴を持つ悪魔です。
- 夜を支配する存在
- 男性を夢の中で誘惑する
- 出産や幼児に関わる災厄の象徴
- 自立と反逆の象徴
単なる「邪悪な存在」というよりも、秩序に従わない女性性の象徴として恐れられ、同時に強い魅力をもって語られてきました。
ナアマ(Naamah)
――音楽と快楽の誘惑者

ナアマは、創世記に登場する人物の名と結び付けられ、後世の伝承で悪魔化された存在です。
名前の意味は「心地よい」「甘美な」とされ、以下のような性質を持ちます。
- 音楽・歌・芸術による誘惑
- 感覚的な快楽の象徴
- 人の心を緩め、堕落へ導く存在
ナアマは、リリスほど直接的な恐怖を伴う存在ではありませんが、知らぬ間に人を堕とすタイプの女悪魔として描かれます。
アグラト・バト・マハラト(Agrat bat Mahlat)
――夜を徘徊する女悪魔の王女

アグラトは、タルムードやカバラ文献に登場する女悪魔で、「マハラトの娘」とされます。
彼女は特に以下の点で特徴的です。
- 夜の街道を徘徊する
- 疫病や狂気と結び付けられる
- 王女・貴婦人のような威厳を持つ
アグラトは、リリスよりも「現実世界に近い恐怖」を体現する存在であり、夜の外出や境界の時間帯に現れる危険の象徴とされています。
エシェト・ゼヌニム(Eisheth Zenunim)
――淫欲そのものを具現化した存在

エシェト・ゼヌニムは、名前自体が「淫行の女」「売春の女」を意味し、非常に象徴的な悪魔です。
特徴としては、
- 性的欲望そのものの化身
- 人の理性を失わせる存在
- 他の女悪魔と融合・同一視されることも多い
文献によっては、リリスやナアマの側面の一つとして扱われることもあり、概念的な女悪魔とも言えます。
四大女悪魔の共通点

四柱に共通する特徴は以下の通りです。
- 夜・夢・境界の時間に現れる
- 誘惑を通じて人を堕とす
- 単なる怪物ではなく「概念」に近い存在
- 恐怖と魅力が同時に語られる
これらはすべて、人間の内面にある欲望や不安の投影と考えることができます。
まとめ

四大女悪魔とは、
「女性の誘惑」「夜」「欲望」「自由への恐れ」を象徴する存在として体系化された悪魔群です。
- リリス:反逆と夜の女王
- ナアマ:甘美な快楽
- アグラト:夜を歩く狂気
- エシェト・ゼヌニム:淫欲の概念
いずれも、単なる善悪では語れない深みを持つ存在であり、現代においても創作・研究・デザインの題材として強い魅力を放っています。










