日本神話6::八岐大蛇退治の英雄スサノオとクシナダヒメの結婚物語WITH柴犬
こちらは、高天原で起きたアマテラスが隠れたエピソードの続きだ。追放されたスサノオはどのような運命をたどるのか・・・
スサノオと八岐大蛇(やまたのおろち)の退治
1. 高天原を追放されたスサノオ
荒ぶる性格で知られる須佐之男命(スサノオ)は、高天原(たかまがはら)での暴挙により姉の天照大御神(アマテラス)を怒らせ、追放されました。行き場を失ったスサノオは地上に降り立ち、出雲の国(現在の島根県あたり)へと向かいます。
そこで彼は一つの川に沿って歩いていると、泣き崩れる老夫婦と一人の美しい娘に出会いました。
2. 老夫婦の悲劇
スサノオが事情を尋ねると、老夫婦(アシナヅチとテナヅチ)はこう答えました。
「私たちはクシナダヒメという娘を残すだけとなりました。実は、八岐大蛇(やまたのおろち)という恐ろしい怪物が毎年現れ、私たちの子供を一人ずつ奪っていったのです。今年もまたクシナダヒメが狙われています。」
老夫婦の悲しみに胸を打たれたスサノオは、剣を握り締めこう言いました。
「私がその怪物を討ち取ろう。クシナダヒメを嫁にくれるなら。」
驚いた老夫婦はすぐに了承し、スサノオはクシナダヒメを守るために準備を始めました。
3. 八岐大蛇との対峙
スサノオはまずクシナダヒメを安全な場所に隠し、彼女を櫛に変えて自分の髪に挿しました。そして八岐大蛇をおびき寄せるための策を講じます。
- 八つの頭を持つ怪物: 八岐大蛇は巨大な体に八つの頭と八本の尾を持つ怪物で、目は燃えるように赤く、体には杉とヒノキが生えるほど巨大な存在です。
- 酒の罠: スサノオは八岐大蛇を酔わせるために、八つの桶に満たした酒を用意しました。大蛇はその香りに引き寄せられ、すべての頭が酒を飲み干しました。
4. 八岐大蛇の討伐
酒に酔いしれた八岐大蛇が動けなくなると、スサノオは剣を抜き、果敢に立ち向かいました。
自身の力を解放し、鋭い剣さばきで一つずつ山の様な大きさの頭を斬り落とし、最後に尾を切り裂いたとき、不思議なことが起こりました。
尾の中から一本の剣が現れたのです。この剣は**草薙剣(くさなぎのつるぎ)**と呼ばれ、後に天照大御神へと献上されます。
この剣は三種の神器の一つとして日本の皇室に伝わる重要な宝となります。
5. スサノオの勝利と結婚
八岐大蛇を討ち取ったスサノオは、約束通りクシナダヒメと結婚しました。二人は新しい住まいを築き、平穏な生活を送りました。
この勝利によってスサノオはただの荒ぶる神ではなく、人々を守る英雄としての一面を見せました。
物語の象徴と教訓
この物語は単なる怪物退治の冒険譚にとどまらず、多くの象徴的な意味を持ちます。
- 混沌と秩序: 八岐大蛇は自然の恐怖や混沌を象徴し、スサノオの行動は秩序と安定を取り戻す行為です。
- 草薙剣の由来: この剣は後の天皇家の象徴となり、スサノオの勝利が日本の伝統や文化に深い影響を与えました。
- 成長と変化: スサノオはこの物語を通じて、荒ぶる神から人々を守る英雄的な存在へと変わります。愛する気持ちが荒ぶる神の心をも変えるのです。