日本神話10:番外編-国譲りは侵略か否か!?
オオクニヌシの国譲り で描かれている高天原へ葦原中国(地上世界)を譲る「国譲り」。
強大な神々の力をもって地上を侵略に来た・・・なんて見方もできてしまいそうです(実際にそういう疑問を持つ人もたくさんいますよね)。
そこで、今回は徹底考察です!
1. 侵略ではなく、神々の合意による秩序の移行
高天原の神々(タケミカヅチやフツヌシ)がオオクニヌシに国譲りを求めた際、武力を背景にした威圧的な要素は確かにありますが、オオクニヌシ自身が条件を提示し、それが受け入れられることで合意に至っています。
これは単なる「征服」ではなく、神々の間での交渉の結果として新しい秩序が生まれるプロセスと考えられます。
2. 国譲りの目的は秩序の確立
葦原中国は、当時「混沌」とされた地上界を象徴しており、高天原の神々はこれを「秩序ある平和な世界」にしたいという意図を持っていました。
天孫降臨(ニニギノミコトによる地上統治)の準備として、葦原中国を「清浄な状態」にする必要があったとされています。つまり、オオクニヌシとスセリビメ、スクナビコが知恵と勇気と愛で統制してきたからこそ、神の力をもって清浄な状態にできるようになったといえるのです。
3. オオクニヌシの自発的な譲渡
オオクニヌシは、自らの意思で国を譲る条件を提示しました。それは「出雲大社の建立」と「民の平和の保証」です。
この条件が受け入れられたことで、オオクニヌシは自らの役割を「祀られる神」へと移行し、新しい形で国を見守る存在となりました。
4. 象徴的な物語
国譲りの話は、天皇家の正当性や地上世界の秩序を神話的に説明するための物語と考えられます。そのため、これは「侵略」よりも、「天上界と地上界の調和」を描いた象徴的な物語として位置づけられます。
侵略ではない
国譲りは、単なる「征服」や「侵略」ではなく、神々同士の交渉と合意に基づく平和的な秩序の移行として描かれています。高天原の神々が力を背景に交渉を進めたのは事実ですが、それは支配の押し付けというよりも、新しい秩序を作るための手段と解釈できます。
日本神話は様々な解釈ができる点が面白いですが、同時にミステリーも含まれています。空白の時代なんかもあり、その時代の政治的力や支配力等も絡んできます。
ただ、わかるのは、国を作ってきた神々と呼ばれる人達が、本当にすべてを憂いで愛していたということですね。でなければこのような話しが残る国ではないはずですから。