バフォメットとは?悪魔か神秘の象徴か?歴史と現代文化への影響
バフォメットは、中世から現代にかけて語られる神秘的な存在であり、ヤギの頭を持つ人間の体をした悪魔のような姿で描かれることが多い存在です。
その名前は1307年にテンプル騎士団が異端審問で告発された際の記録に登場し、それ以降、悪魔学やオカルトにおいて象徴的な存在となりました。
バフォメットの歴史と起源
バフォメットの起源は諸説ありますが、代表的な説をいくつか紹介しますね。
1. テンプル騎士団と異端審問(1307年)

- バフォメットが初めて記録に登場したのは、フランス王フィリップ4世によるテンプル騎士団への弾圧時。
- 騎士団は「バフォメットという偶像を崇拝していた」とされ、異端の罪で多くの騎士が処刑された。
- しかし、実際にバフォメット像が存在した証拠はなく、この告発が作り話である可能性も指摘されている。
2. 19世紀のオカルティスト、エリファス・レヴィ
- フランスのオカルティスト**エリファス・レヴィ(Eliphas Lévi)が1861年に描いた「バフォメットの象徴図」**が、現在広く知られるヤギ頭のバフォメット像の元となった。
- レヴィのバフォメットは、単なる悪魔ではなく、善と悪、男性と女性、天と地といった相反する要素を統合した存在として描かれた。
- つまり、神秘主義におけるバランスや調和の象徴とされていた。
3. 現代のオカルトとバフォメット

- バフォメットは20世紀に入り、悪魔崇拝やオカルトのシンボルとして認識されるようになった。
- アントン・ラヴェイが創設した**「サタン教会(Church of Satan)」**では、バフォメットの五芒星が公式のシンボルとなっている。
- 近年ではポップカルチャーやメタル音楽、ホラー映画、ゲームなどにも登場し、その神秘的なイメージが定着している。
バフォメットの象徴と意味
バフォメットは、多くの象徴的な要素を持ちます。その主な特徴を解説します。
特徴 | 意味 |
---|---|
ヤギの頭 | 知恵と野性的な本能を表す |
人間の体 | 神と人間の結びつき、統合 |
胸の女性的な特徴 | 陰陽、男性と女性の二元性 |
右手が天を指し、左手が地を指すポーズ | 「天にあるごとく地にもあれ」(調和の象徴) |
五芒星(ペンタグラム) | 魔術的な力、宇宙の秩序 |
二本の蛇が巻き付く杖(カドゥケウス) | 知識、変容、癒し |
このように、バフォメットは単なる「悪魔」ではなく、神秘的な叡智や二元論の象徴として解釈されることが多いのです。
バフォメットと悪魔の関連性
バフォメットはしばしば悪魔と混同されるが、実際には次のような違いがある。
| | バフォメット | ルシファー(サタン) | |—|—| | 起源 | テンプル騎士団の告発、エリファス・レヴィの神秘学 | キリスト教の堕天使、聖書の記述 | | 象徴 | 二元論、知識、調和 | 反逆、自由、堕落 | | 外見 | ヤギ頭の人間 | 堕天使または赤い悪魔の姿 | | 宗教的役割 | 魔術・神秘主義のシンボル | クリスチャンにとっての敵対者 |
そのため、バフォメットは単なる「悪魔」ではなく、より哲学的な意味を持つ存在として考えられることが多いのです。
バフォメットの現代文化への影響
バフォメットは、さまざまな分野で取り上げられています。

- 映画・ゲーム:ホラー映画、ダークファンタジー作品に頻繁に登場。
- 音楽:メタルやブラックメタルのアルバムアートやバンドのロゴに使われる。
- 文学:オカルトや神秘主義に関する書籍で取り上げられる。
- シンボルとしての利用:タロットカードや魔術の儀式など、スピリチュアルな文脈で使われる。
まとめ
- バフォメットは中世のテンプル騎士団の告発に登場。後にオカルトのシンボルとなった。
- エリファス・レヴィによって「ヤギの頭を持つ人間」の姿が定着し、二元性や調和の象徴とされた。
- 悪魔と混同されることが多いが、実際には知識や統合の象徴として扱われることが多い。
- 現代では、映画、ゲーム、音楽、魔術のシンボルとして広く使われている。