カムイの怒りとアイヌラックルの決意|神々に試される若者の物語【北海道の伝承】(3/5)

カムイを怒らせた村

ある春の日、アイヌラックルは山のふもとの川辺で、たくさんの魚の死骸が流れてくるのを見つけました。

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「こんなにたくさん……」

不思議に思って上流へ向かうと、そこには新しくできた村がありました。村人たちは川の魚をまとめて捕るために、大きな網を使い、水をせき止めていました。

「これでは魚が育たなくなってしまう……」
アイヌラックルはそっとつぶやきました。

■ 忘れられた“感謝”

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その村では、魚や鳥を捕っても「ありがとう」とは言わず、木を切っても火を使っても、神への祈りを捧げることがなくなっていました。

「自然は使うもの」としか考えず、かつて教えた“感謝”の心を忘れていたのです。

■ カムイの怒り

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その夜、空がにわかにかき曇り、山の神――ヌプリカムイの怒りが雷となって鳴り響きました。

木々がざわめき、地が震え、森は不気味な沈黙に包まれます。

「人間たちは、カムイの教えを忘れたのか……」

神々の世界・カムイモシリでは、再び議論が始まりました。
人間に知恵を授けたことは、間違いだったのではないか――と。

■ 試されるアイヌラックル

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アイヌラックルは、神々の怒りを受け止め、もう一度人間たちに語りかけようと決意します。

「まだ、遅くはありません。人間たちには、学び直す心があります」

そのとき、空にひとすじの光が走り、若者の前に火の鳥のカムイが現れました。

「その言葉……本当か? それならば、おまえ自身が証を見せよ」

試練の火が灯り、アイヌラックルはふたたび、人々と神々の間に立つことになったのです――。

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