ぬらりひょんとは?家主のように振る舞う妖怪の正体と伝承を解説
ぬらりひょん――誰にも止められない“ぬるっと”侵入者
「ぬらりひょん」という妖怪の名前を聞いたことはありますか?
まるで軟体動物のような名のこの存在は、どこか人を食ったような振る舞いで知られています。
今回は、日本各地に伝わる“ぬらりひょん”の正体と、その不思議な魅力をたっぷりとご紹介します。
■ 1. ぬらりひょんとは?
ぬらりひょんは、「勝手に他人の家に上がり込み、家主のようにお茶を飲んでくつろいでいる」とされる妖怪です。

誰にも気づかれずに家に入るその姿は、まさに“ぬるり”とした不気味さを持ち、追い出そうとしても、なぜか誰も止められない――そんな不可思議さが語られてきました。
■ 2. 地方伝承に見るぬらりひょん
この妖怪には明確な起源や一つの伝承があるわけではなく、いくつかの地域で似たような存在として伝えられています。
- 岡山県:ぬらりひょんは「ぬらぬらした海坊主」として描かれ、波間に現れては人々を惑わせる存在とされる。
- 静岡県:姿をくらます謎の侵入者として語られ、影のようにぬらりと現れては消える存在。
どこも共通するのは、“正体不明でぬるぬるした”侵入者ということです。
■ 3. 「妖怪の総大将」としてのイメージ

ぬらりひょんが「妖怪のリーダー」として一般に知られるようになったのは、昭和以降、水木しげる先生の作品『ゲゲゲの鬼太郎』による影響が大きいでしょう。
作品中では、ぬらりひょんは妖怪たちの知恵者にして、策略家の総大将として描かれました。
その風格ある姿は、もはや“ただの侵入者”ではなく、“妖怪界の長老”的な存在感を放っています。
■ 4. ぬらりひょんの現代的な意味合い
近年では、「ぬらりひょん」は現代的な皮肉のこもった比喩としても使われています。
- 職場に突然現れ、肩書きだけで権限をふるう人
- 空気を読まずに会議に参加し、なぜか話をまとめてしまう人
- 家に突然来て、勝手にリモコンを握っている親戚のおじさん
そんな「追い出せないけど居座る」ような人物を、冗談交じりに「ぬらりひょんみたい」と呼ぶこともあるのです。
■ 5. まとめ:ぬらりひょんはなぜ怖いのか?
ぬらりひょんは、恐ろしい妖術や暴力をふるうわけではありません。
ただそこに現れて、あたかも当然のようにその場を支配してしまう――この“存在の違和感”こそが、ぬらりひょんの本当の恐ろしさなのかもしれません。









