果ての二十日とは?日本の年末に現れる妖怪伝承とその由来
果ての二十日とは?
日本の昔話や伝承には、特定の日に妖怪や怪異が現れるという言い伝えがいくつもあります。その代表的なものの一つが「果ての二十日(はてのはつか)」です。
これは 旧暦12月20日 に、妖怪が人里に現れ、人々に災いをもたらすと信じられていた日を指します。
由来と意味

「果ての二十日」は、年末の忙しさと厳しい寒さが重なる時期にあたります。農作業や行事の一区切りで気が緩むころ、怪異に遭う危険があるとされ、村人たちはこの日を特別に恐れました。
「果て」とは年の終わりを意味し、旧暦ではちょうど冬の厳しさが増すころにあたります。そのため、この日を不用意に外出すると、妖怪に襲われると考えられていたのです。
妖怪との関わり

この日に登場する妖怪として語られるのが、**一本だたら(一つ目・一本足の妖怪)**です。
紀伊半島や吉野地方では、果ての二十日に山道でこの妖怪に遭遇すると命を落とすと恐れられました。旅人や山仕事に出る者は特に警戒し、この日は出歩かない習慣があったと伝えられています。
一本だたらは、鍛冶師の魂が変じた姿ともされ、「火」「鉄」と深い関わりを持つ存在です。年末の「果ての二十日」に現れるという設定は、古くからの生活習慣や信仰が反映されていると考えられます。
生活への影響

「果ての二十日」には、村人たちが 外出を控え、火の始末に気をつける といった習慣がありました。
これは妖怪への恐れを通じて、人々に生活の注意を促す意味を持っていたと考えられます。単なる迷信ではなく、暮らしに根ざした知恵だったのです。
まとめ
「果ての二十日」は、年の瀬に妖怪が現れると恐れられた日本独自の伝承です。特に紀伊・吉野地方では「一本だたら」が現れる日とされ、今も妖怪伝承の中で語り継がれています。
年末の厳しい自然環境と、暮らしの区切りを意識させるこの風習は、妖怪伝説を通じて人々の生活を律する役割を果たしていたのです。







