すねこすりとは?岡山に伝わる妖怪の正体と不思議な伝承
今回は、夜道にまとわりつく不思議な妖怪「すねこすり」をご紹介します。このいかにも無害な感じの妖怪は、岡山県で語り継がれているのです。
夜道の出来事
昔むかし、岡山の山里を歩いていた旅人がいました。
月明かりに照らされた細い道を一人で進んでいると、突然、ふくらはぎに何かがすり寄ってきます。まるで猫が甘えるように、しかし妙に重たく、歩みを阻むように絡みついてくるのです。

旅人が慌てて足元を見下ろすと、そこには影のような小さな獣が一瞬見えたかと思うと、すぐに消えてしまいました。足に残る感覚だけが、じっとりと生々しく残ります。
人々はこの怪異を「すねこすり」と呼び、夜道での奇妙な体験として語り継いできました。
妖怪としての特徴
- 姿は定かでない
猫や犬のように見えたという証言が多いですが、はっきりとした姿を捉えることはできないとされます。 - 悪さはしない
人を傷つけることはなく、ただ足元にまとわりついて歩きにくくするだけ。 - 出現場所
山道や堤防道など、人通りの少ない薄暗い場所に多いといわれます。
民俗学的な解釈
妖怪研究の世界では、すねこすりは「実際に夜道で猫がすり寄ってきた体験」が伝承化したものではないかと考えられています。
人の視覚が曖昧になる夜の闇の中で、ちょっとした動物の仕草や影が、不気味な妖怪へと姿を変えたのでしょう。
水木しげるの妖怪画でも紹介されており、現代では「無害だが少し不気味な妖怪」として親しまれています。
教訓と余韻
すねこすりは、人に危害を加えない妖怪です。けれども「足にまとわりついて進めなくする」という行動は、旅や人生の道に思わぬ障害が現れることを暗示しているのかもしれません。
昔の人々は、このような妖怪譚を通して「夜道は気をつけよ」「油断せず歩け」という教えを伝えていたのでしょう。
まとめ

「すねこすり」は恐ろしい妖怪ではなく、むしろどこか愛嬌を感じさせる存在です。
しかし、月明かりに照らされた静かな夜道で、ふいに足に何かが触れたとしたら――。
あなたも、昔の人々と同じように背筋をぞくりとさせるに違いありません。










