ドッペルゲンガーとは？恐怖の分身伝説と世界に伝わる逸話
ドッペルゲンガー（Doppelgänger）とは、ドイツ語で「二重に歩く者」を意味する言葉です。自分と瓜二つの姿をした分身や影のような存在を指し、多くの場合「不吉の象徴」として語られてきました。
起源と語源
- 語源：「doppel（二重の）」＋「gänger（歩く者）」
- 18世紀末〜19世紀初頭のドイツ文学で広まりました。最初にこの語を用いたのは作家ジャン・パウルとされています。
特徴
- 生きている人間の姿をした分身。
- 自分のドッペルゲンガーを見てしまうと死や不幸の兆しとされる。
- 他人に目撃される場合もある。
科学的解釈
- 幻覚説：強いストレスや睡眠不足で「自分そっくりの人影」を見ることがある。
- 脳科学：側頭葉や頭頂葉の異常による「自己像幻視」の現象。
- 偶然の類似：単に自分に似た他人に出会っただけの場合もある。
世界に伝わるドッペルゲンガーの逸話
1. ゲーテの遭遇
大詩人ゲーテは、道を歩く「もう一人の自分」を見たといいます。数年後、彼は同じ服装で同じ場所を歩き、過去に見た幻が「未来の自分」だったのではと震撼しました。
2. シシィ皇后の影
オーストリア皇后エリーザベト（シシィ）は、自分そっくりの姿を目撃された後、暗殺に倒れました。それは「死を予告する影」として語り継がれています。
3. キャサリン・ザ・グレート
ロシア女帝は寝室で「もう一人の自分」を見て、銃で撃たせたと伝えられます。その後、彼女は病で亡くなりました。
4. アブラハム・リンカーン
鏡の中で二重に映った自分の顔。その一方は死者のように蒼白だったといいます。妻はそれを「短命の予兆」と解釈し、やがて暗殺事件で現実となりました。
現代文化におけるドッペルゲンガーの引用
仮面ライダーアギトのケース
2001年放送の特撮ドラマ『仮面ライダーアギト』では、十二星座をモチーフにした怪人「アンノウン」が登場しました。
その中の さそり座のアンノウン（スコーピオン・ロード） は、人間に自分自身の分身＝ドッペルゲンガーを見せる能力を持っていました。
犠牲者は自分そっくりの存在を目の当たりにして動揺し、精神的に追い詰められた末に命を奪われます。
これは「自分の分身を見ると死ぬ」という古典的なドッペルゲンガー伝承を、現代の特撮ドラマに見事に応用した例です。
意味合い
アギトのテーマは「人類の進化」と「運命」。
そこにドッペルゲンガーのモチーフを絡めることで、「人間が自らの影に飲み込まれる恐怖」 を表現しており、視聴者に強烈な印象を残しました。
ドッペルゲンガーが示すもの
これらの逸話は、自分自身の姿を目撃することが「死や運命の予兆」と結びつけられてきたことを物語ります。科学的には説明可能かもしれませんが、人が「自分そっくりの存在」を目にしたときに覚える不安と恐怖は、古今東西変わらないものなのでしょう。
