鏡にまつわる妖怪・怪異・悪魔とは?紫鏡・雲外鏡からブラッディメアリーまで
鏡は古来より「ただ姿を映す道具」ではなく、異界と現世をつなぐ境界として恐れられてきました。
そこに映るものが「本当の自分」なのか、それとも「異界の存在」なのか。
日本でも西洋でも、鏡にまつわる妖怪・悪魔・怪談は数多く伝わっています。
日本の鏡の妖怪・怪異
紫鏡(むらさきかがみ)

- 都市伝説の代表格。
- 「紫鏡」という言葉を20歳まで覚えていると死ぬとされる。
- 鏡そのものが呪うわけではなく、「記憶」と「言葉」による呪い。
- 忘れようとすると逆に覚えてしまう心理効果で広まった。
合わせ鏡の怪談
- 真夜中に鏡を二枚向かい合わせにすると、無限に映る自分の奥に異界が口を開ける。
- 寿命が縮む、悪霊に取り込まれるといった言い伝えがある。
- 日本の学校怪談でも「合わせ鏡は禁忌」とされる。
鏡の付喪神
- 古来、日本では「長く使われた器物には魂が宿る」と考えられていた。
- 古鏡が妖怪化し、人を惑わすとされた。
- 「古い鏡を粗末に扱うと祟る」という信仰が背景にある。
雲外鏡(うんがいきょう)

- 江戸時代、鳥山石燕の『画図百鬼夜行』に描かれた鏡の妖怪。
- 古い鏡が変化し、鏡面から人の顔がにやりと覗く姿で表される。
- 名称は「雲の外を映す鏡」=すべてを見通す鏡、という意味を持つとも。
- 鏡そのものが妖怪として描かれた、日本独特の存在。
西洋の鏡の怪異・悪魔
ブラッディ・メアリー

- アメリカやヨーロッパの怪談。
- 暗い部屋で鏡を見つめながら「ブラッディ・メアリー」と3回唱えると、血まみれの女性の霊が現れるという。
- 恐怖の「呼び出し儀式」として有名。
鏡の悪魔(Mirror Demon)

- 西洋オカルトでは「鏡は魂を奪う」と考えられた。
- 鏡を割ると「7年間の不幸」を招くという迷信もここから。
- 鏡は「悪魔が人間に干渉する入り口」と見なされた。
鏡と死者の魂
- ヨーロッパの一部では、葬儀の際に鏡を布で覆う習慣がある。
- 理由は「死者の魂が鏡に吸い込まれ、現世に留まってしまうのを防ぐため」。
- 鏡=魂の依代という信仰が色濃く残っている。
鏡に共通する象徴性
- 境界性:現実と異界をつなぐ扉。
- 真実と虚偽:映るものが本当かどうかの不安。
- 魂の依代:人の生命を映し取り、縛る力を持つと考えられた。
まとめ

鏡は世界中で「ただの反射する道具」以上の意味を持ち、妖怪や悪魔の題材として語られてきました。
- 日本では「紫鏡」「合わせ鏡」「雲外鏡」など、言葉や古鏡の妖怪化。
- 西洋では「ブラッディ・メアリー」「鏡の悪魔」「葬儀の鏡覆い」といった霊的儀式や信仰。
鏡は 人間の心の不安を映す象徴 でもあり、「もう一人の自分」や「異界への入り口」というイメージが、今もなお私たちを惹きつけ続けています。







