四神とは?青龍・白虎・朱雀・玄武の意味と役割|東西南北を護る霊獣の伝承と起源
古くから、人は「方角」に特別な意味を見出してきました。
どの方角に山があるのか、川が流れるのか──それは村の安全や生活を左右する大切な要素だったからです。
その方位に、象徴として “神の姿” を与えたもの。
それが 四神(しじん)—青龍・白虎・朱雀・玄武 と呼ばれる霊獣です。
この記事では、四神がどのように誕生し、どんな役割を担い、日本ではどう受け継がれたのか。信頼できる文献情報に基づき、わかりやすく整理して紹介します。
四神とは?|古代中国の星宿思想に基づく霊獣
四神は、妖怪や怪談のように民話から生まれた存在ではありません。
古代中国の天文学・五行思想・都市計画などが複雑に結びついた“宇宙観の象徴” です。
概念は、古代中国の戦国時代〜前漢時代(紀元前4〜3世紀)に形成されました。
約2500年前ですね。
文献での初出は以下のように非常に古く、信仰というより体系化された思想に近い形で登場します。
- 『史記』天官書 … 東西南北を「四象」として記述
- 『礼記』月令 … 四季との対応
- 『山海経』 … 霊獣的記述が見られる
四神はそれぞれ、方角・季節・五行・色などを象徴します。
| 方角 | 霊獣 | 季節 | 五行 | 色 |
|---|---|---|---|---|
| 東 | 青龍 | 春 | 木 | 青 |
| 南 | 朱雀 | 夏 | 火 | 赤 |
| 西 | 白虎 | 秋 | 金 | 白 |
| 北 | 玄武 | 冬 | 水 | 黒 |
「東は春の息吹」「北は厳しい冬」など、自然の性質を霊獣として表現したのが四神です。
青龍(せいりゅう)|東を護る“春と水の守護龍”
青龍は、春の息吹や生命の成長を象徴する霊獣。
中国の天文学で「蒼龍七宿」と呼ばれる星々のエリアに対応しています。

■ 青龍の象徴
- 春、発展、繁栄
- 水の流れ
- 若々しい生命力
■ 文献上の背景
『史記』天官書にて東方の星宿を「蒼龍」とし、王都を設計する際に「東に川を置くのが吉」とされた理由も、この青龍の考え方によります。
■ 日本への伝来
- 平安京は「東=鴨川」を青龍として配置
- 龍神信仰と融合し、神社の守り神として定着
- 現代のアニメやゲームでも象徴的存在。ワンピースでもカイドウが使う能力でしたね。
白虎(びゃっこ)|西を護る“秋の戦神”
白虎は、強さ・決断・武勇を象徴する西方の守護獣。
夕日が沈む「西=冥界に近い方位」を護るため、最も勇猛な姿を与えられたとも言われます。

■ 白虎の象徴
- 秋、収穫、金属
- 戦・決断力
- 魔除け
■ 文献の背景
西の星宿である「白虎七宿」として古文献に記されており、秋という“実りの終わり”の季節を象徴する存在です。
■ 日本での受容
- 武家文化との相性が良く人気
- “白虎隊”の名にも象徴性
- 魔除けとしての白い動物の信仰にも影響
朱雀(すざく)|南を護る“炎と光の霊鳥”
朱雀は、燃え立つ炎や太陽を象徴する霊鳥。
フェニックス(不死鳥)と混同されがちですが、文化的起源は別です。

■ 朱雀の象徴
- 夏
- 火
- 太陽・光・繁栄
- 高貴さ
■ 文献的背景
南を示す「朱鳥(すざく)七宿」として記載。
最も光が満ちる方角であることから、吉兆・祝福の象徴とされました。
■ 日本での受容
- 平安京の正面通りは「朱雀大路(すざくおおじ)」
- 宮中の正門は「朱雀門」
- 祭礼・儀式の装飾にも登場
玄武(げんぶ)|北を護る“冬と大地の守護者”
玄武は、亀と蛇が絡み合った姿で描かれる霊獣。
厳しい寒さ、忍耐、長寿、そして大地の力の象徴です。

■ 玄武の象徴
- 冬
- 水
- 冷気
- 生命力・長寿
■ 文献の背景
北を示す「玄武七宿」として古文献に記述。
寒冷や霊の気配が強い方位とされ、“守る力”が重視されました。
■ 日本での受容
- 船岡山(北)が玄武に見立てられた平安京
- 山岳信仰との結びつき
- 現代の神社の結界思想にも影響
- 特撮作品、ガメラにも影響を与えたとも
四神信仰はどのように日本へ広がったのか?
■ 1. 陰陽道
- 吉凶方位の判断に四神が用いられた
- 結界・祭祀の理論的ベースに
■ 2. 都市設計(平安京の例)
四神思想は都市構造にまで影響しました。

- 東=青龍(鴨川)
- 西=白虎(山地)
- 南=朱雀(正門)
- 北=玄武(船岡山)
これらを配置して初めて「守護される都」が完成すると考えられていました。
■ 3. 現代文化への影響

- アニメ・ゲーム・漫画への登場
- お守り・家紋
- 風水の基礎概念
**四神は“妖怪”とは違う?
—体系そのものが異なる存在**
民話的な妖怪は、人々の生活の中で恐怖や不思議から生まれた存在です。
一方、四神は天文学と哲学を基盤とした象徴体系であり、性質が異なります。
ですが、どちらも共通しているのは、
古代人が自然を理解しようとする姿勢そのものだという点です。
まとめ|四神は、古代人の知恵と祈りが生んだ“世界の羅針盤”
いかがでしたでしょうか。
古代の人々は、夜空の星をただの光としてではなく、世界の秩序を示す“地図” として読み解いていました。
東西南北を護る霊獣「四神」は、その宇宙観をわかりやすく形にした象徴であり、今日まで文化や信仰として受け継がれています。
現代の私たちが四神に惹かれるのは、そこに 自然への畏敬、調和への願い が宿っているからかもしれません。
さらに深く知りたい方へ:
本記事では軽く紹介しましたが、
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