【冬の星座の怖い話】オリオンとすばるの7姉妹|神話に隠されたストーカー伝説とは?
冬の夜空はどこか静かで、美しく、透明です。
街の灯りが落ち、空を見上げると、星々が澄んだ空気の中にくっきり浮かび上がります。
その中でもひときわ存在感のある星座──
オリオン座。
三つの星が並ぶ「ベルト」を中心に、肩と足に輝く一等星。
威厳のある狩人の姿として知られています。
でも、このオリオン。
ただの英雄ではありません。
神話の裏を覗いてみると、意外な事実が浮かび上がります。
──“冬空最大のストーカー”だったかもしれない、という話。
■追いかけられたのは「プレアデスの7姉妹」

オリオンが執拗に追い回した相手は、プレアデス星団。
日本では「すばる」として知られています。
この星団は小さくまとまり、宝石のように光ります。
その姿は7人の姉妹──プレアデス姉妹とされます。
彼女たちは、天空と大地の境界を支える巨人アトラスと海のニンフ・プレイオネの娘。
身分も血筋も容姿も整った、とても美しい存在でした。
そしてその美しさこそが、悲劇の引き金になります。
■ 「俺のものにしてやる」から始まった追尾劇
オリオンは美しい姉妹を見るなりこう考えたと言われています。

「いつか彼女たち全員を手に入れてやる。」
──神話の記述、ここまではっきりしてます。
求愛でもプロポーズでもなく、
所有宣言。
この瞬間から、オリオンは姉妹を追い回し始めます。
森でも
平原でも
海沿いでも
空気関係なしにとにかく追う。
変装しても
泣いても喚いても気にせず追う。

逃げる姉妹、追うオリオン。
この構図、現代なら普通にアウトです。かなり危ない男・・・!!
■ ついに神へSOS
逃げ続けた姉妹と母プレイオネは、追跡に疲れ果て、神々に祈りを捧げます。

「どうか、この追われ続ける地上から解放してください。」
その願いは聞き入れられ、姉妹は星座へと変えられたのです。
つまり──
プレアデスが星になった理由は、
- 名誉 ×
- 勇気 ×
- 英雄の証 ×
ではなく、
「逃げ場がなかったから。」
だったわけです。もう避難するには空しかないという結論にいたったのです。
■ 空になっても終わらない執着
普通ならここで話は終わりますが、オリオンは諦めません。

姉妹が星になっても、追い続けたのです。
そのため、冬の夜空を見上げると、姉妹(すばる)の近くに必ずオリオン座が位置しています。
しかも、
- 近いようで近づけない微妙な距離
- 間に**おうし座(盾の役目)**が挟まっている
- それでもオリオンは方向を変えない
という天文学的配置が続いています。
古代人は言いました。
「彼は永遠に、決して届かない相手を追い続けている。」
ロマンチック?
……いや、やっぱり怖い。
■ なぜ姉妹は6つに見えるのか?
プレアデス星団は「7人の姉妹」と言われますが、肉眼では6つしか見えません。
この理由についても神話は妙にホラーです。

● 説①:怖くて光を失った
オリオンのしつこさにより、
一人の姉妹は精神を壊し輝けなくなった。
● 説②:隠れている
「もう見つかりたくない」
そう願い、光を弱くしたと言われています。
● 説③:嫁いでしまった
唯一、地上の男性と結ばれたため、
星団から距離を取った。
……全部切ない。オリオン危ない。
■ 星座は美しい。でも物語は生々しい
冬の星空は静かで幻想的です。
しかし、その裏側には人間的で、そしてどこか危うい物語が刻まれています。
- 一方的な追いかけ
- 断られても執着
- 相手が逃げてもなお追う
- 空に逃げても距離を詰める
これ、現代なら即警察・即ブロック案件。
なのに、夜空では今もずっと続いている。
■ 結論:冬の空は「逃げる女たち」と「執着する男」の図
寒い夜にふと空を見上げたとき、
もし小さくまとまった星々(すばる)が見えたなら、そのすぐ下のオリオン座も探してみてください。
二つの星々の距離を感じたとき、
こう思うかもしれません。
「あ、まだ追ってる……」
そして冬空は少しだけ、ミステリアス?に見えるでしょう。










