【世界の炎の妖怪・魔神・悪魔】伝説と神話に登場する火を操る存在まとめ
炎は古来より力の象徴であり、神聖なものとされる一方で、破壊や災厄をもたらす存在としても恐れられてきました。各地の神話や伝承には、火を操る妖怪や悪魔が登場し、人々を試したり、罰を下したりします。本記事では、世界の炎にまつわる妖怪や魔人、悪魔たちを紹介します。
1. 日本の炎の妖怪・鬼・神
鬼火(おにび) – 夜道を彷徨う怪火

鬼火は、夜の闇に浮かぶ青白い炎で、亡霊や妖怪が生み出すとされています。特に、無念の死を遂げた者の魂が鬼火となり、旅人を惑わせると伝えられています。火の玉のように浮遊し、人を迷わせることから、日本各地で恐れられました。
焔摩天(えんまてん) – 地獄を統べる炎の神

仏教の神である焔摩天(Yama)は、火を象徴する天部の神であり、地獄の審判官としても知られています。地獄で業火を操り、罪人を裁く存在とされています。閻魔大王とも混同されることが多く、日本では恐ろしい火の神として描かれることがあります。
炎鬼(ほむらおに) – 火災を引き起こす妖怪

江戸時代には、火事の原因を妖怪の仕業と考えることがありました。炎鬼はその代表例で、火の精霊のような存在として人々を脅かしたとされています。炎をまとった姿で現れ、火災を広げると信じられていました。
2. 中国・東アジアの炎の魔神・妖怪
祝融(しゅくゆう) – 中国神話の火の神

祝融は、中国神話に登場する火を司る神で、四方を統べる神々の一柱です。火の精霊たちを統率し、黄帝に仕えた伝説の戦神でもあります。中国の古代思想では、火徳を持つ王が繁栄すると考えられ、祝融は皇帝の象徴としても崇められました。
火徳星君(かとくせいくん) – 道教の炎の神

道教では、火徳星君という火の神が星の運行を司る存在として信仰されています。彼は災害を予知し、火を操る神として、人々に祀られてきました。
火龍(ひりゅう) – 炎を吐く龍

火龍は、中国の伝説に登場する龍で、炎を吐きながら空を飛ぶ存在です。日本の火龍とは異なり、神聖な存在として扱われることが多く、皇帝の権威の象徴として描かれることもあります。
3. インド・中東の炎の魔神・悪魔
アグニ(Agni) – ヒンドゥー教の火の神

アグニは、ヒンドゥー教の火の神であり、神々への供物を運ぶ存在とされています。彼は三界を行き来する力を持ち、人々の願いを神々に伝える役割を担っています。炎は浄化と破壊の両面を持つため、アグニは創造と破壊の両方を司る神とされています。
イフリート(Ifrit) – イスラム神話の炎の精霊

イフリートは、イスラム神話に登場する強力なジン(精霊)で、炎から生まれた存在です。人間に災厄をもたらすことが多く、しばしば邪悪な存在として描かれますが、召喚されて使役されることもあります。
4. ヨーロッパの炎の悪魔・怪物
ベリアル(Belial) – 地獄の炎を操る堕天使

ベリアルは、ソロモン72柱の悪魔の一柱であり、地獄の公爵として知られています。彼は堕落と混沌を司る悪魔であり、「価値なき者」という意味の名を持つとされています。伝承によれば、彼は燃え盛る炎の中から現れることがあり、地獄の業火を象徴する存在とされることもあります。キリスト教の異端的な解釈では、彼は地獄の支配者の一人であり、人間の堕落を促す存在とされました。
サラマンダー(Salamander) – 炎の精霊

サラマンダーは、ルネサンス期の錬金術に登場する火の精霊です。錬金術師たちは、火の中に住む存在として信じ、炎の制御や精錬に関する秘密を持つと考えていました。
5. 北欧・スラヴ・ケルトの炎の存在
スルト(Surtr) – 北欧神話の炎の巨人

スルトは、北欧神話に登場する炎の巨人で、終末の日ラグナロクにおいて、神々を滅ぼす役割を持つとされています。彼は炎の剣を振るい、世界を焼き尽くす存在として語られています。
オグニェーボグ(Ognebog) – スラヴ神話の火の神

スラヴ神話におけるオグニェーボグは、火と破壊を司る神です。火災や戦の象徴とされ、悪しき運命をもたらす存在として恐れられていました。
ブラン(Bran) – ケルト神話の火の神

ケルト神話に登場するブランは、戦の神であり、炎の剣を持つとされる存在です。戦士たちに火の加護を与え、敵を焼き尽くす力を持っていると伝えられています。
結論:火の神々と怪物は世界中に広がる
炎の神話や妖怪、悪魔は、世界中で異なる姿を持ちながらも、共通して創造と破壊の両面を備えています。火は人々の生活に不可欠であると同時に、恐怖の対象でもあったため、火を司る神や魔物が語り継がれてきたのです。