相撲の起源とは？野見宿禰だけじゃない5つの起源説を徹底解説！
日本の国技・相撲。
その起源といえば「野見宿禰（のみのすくね）」と「当麻蹴速（たいまのけはや）」の力比べが有名です。
しかし実際には、それ以前からさまざまな形で**「力比べ」「神事」「儀礼」**が存在していました。
本記事では、伝承・神話・民俗・武芸の観点から、
**「相撲の起源をめぐる5つの説」**を詳しく解説します。
野見宿禰と当麻蹴速 ― 天覧相撲起源説
最も知られるのが、**『日本書紀』に記された天覧相撲（てんらんずもう）**の伝承です。
垂仁天皇の御前で、出雲の野見宿禰と大和の当麻蹴速が戦い、宿禰が勝利したという物語。
この戦いが「相撲の起源」とされ、後の「天覧相撲」「勧進相撲」の原点になりました。
国家的な神事としての正統性を持つため、**“公式的な相撲起源”**として語り継がれています。
神代の力比べ ― 出雲神話起源説
もっと古い起源を語るなら、**神々の時代（神代）**まで遡ります。
『古事記』や『出雲国風土記』には、「建御雷神（たけみかづち）」と「建御名方神（たけみなかた）」が国譲りをめぐって力比べをする場面が描かれています。
建御雷神が相手を投げ倒すその姿は、まさに相撲の原型。
このことから、相撲は神意を問う神事的格闘だったとも言われます。
現在の出雲大社や諏訪大社の奉納相撲には、この信仰が受け継がれています。
農耕儀礼・豊作祈願起源説
各地の村や神社では、古くから「力比べ」が豊作祈願の儀式として行われてきました。
男たちが田んぼの神に力を示し、土地の恵みを祈る――それが**「神相撲」や「田遊び」**の原型です。
相撲は単なる娯楽ではなく、自然と人の調和を祈る神事でした。
いまも全国の神社で「奉納相撲」が行われており、
力士が神前で取組を奉げる姿は古代の信仰の名残といえます。
軍事訓練・武芸起源説
奈良〜平安時代、相撲は宮中行事（相撲節会）として発展しました。
ここでは「力比べ」というよりも、
兵士の体力・技量を試す武術的競技として行われていました。
また、「手搏（てうち）」「組討ち」などの古代武術が源流ともいわれ、
この流れはのちに柔術や柔道へとつながっていきます。
つまり、相撲は神事から武芸へと形を変えながら、日本文化に根づいたのです。
複合起源説 ― すべてが混ざり合った「国技」
現代の研究では、相撲の起源は一つではなく、
神話・信仰・儀式・武術の要素が融合した複合文化だと考えられています。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 神話 | 建御雷神の力比べに始まる神事的原型 |
| 英雄伝説 | 野見宿禰による天覧相撲 |
| 民俗儀礼 | 農耕神への豊作祈願 |
| 宮中儀礼 | 相撲節会などの式典化 |
| 武芸 | 戦士の体術・訓練としての発展 |
こうして、相撲は「神に捧げる祈り」「人を鍛える技」「人々を結ぶ祭り」として受け継がれ、
やがて日本の国技として定着していったのです。
おわりに ― 力を奉げる祈りの文化
野見宿禰の伝説は、確かに相撲史の象徴的な幕開けですが、
その背後には「神への祈り」「大地との対話」「生きるための力」の物語が息づいています。
相撲とは――
ただの競技ではなく、**人と自然と神を結ぶ日本最古の“身体の言葉”**なのです。
