山犬伝説とは?香川県に伝わる神の使いと妖怪退治の物語
「山犬伝説」とは、日本各地に伝わる神秘的な物語で、特に四国や香川県では、山犬(オオカミ)が神の使いとして崇められたり、妖怪を退治する英雄として語られたりしています。
香川県の屋島や大川山には、白い山犬が村を守ったとされる伝承が残っており、旅人を導いたり、災いを防いだりする存在として信仰されてきました。
また、山犬は畏怖の対象でもあり、その遠吠えが吉兆や不吉の前触れとされることも。
この記事では、香川県を中心に伝わる山犬伝説の物語やその背景について詳しく紹介します。
香川県や四国地方に伝わる山犬伝説
1. 屋島の山犬伝説(香川県)

香川県の屋島(やしま)には、古くから山犬(ヤマイヌ)が神の使いとされる伝説があります。屋島は源平合戦の舞台としても有名ですが、山犬が夜中に吠えると不吉なことが起こるとされ、逆に山犬の遠吠えが静かだと平穏が訪れるとも言われました。
また、山犬が道に迷った旅人を案内するという話もあり、山の守り神のような存在としても信じられていました。
2. 讃岐の山犬伝説(香川県・徳島県境)
香川県と徳島県の境にある大川山(おおかわやま)には、かつて神の使いとされる白い山犬が住んでいたという伝説があります。
あらすじ
昔、大川山のふもとの村では、毎年若い娘が行方不明になるという怪異が起こっていました。村人たちは恐れおののき、山の神が生贄を求めているのではないかと考えました。

ある年、村の若者が勇気を出して山に入り、娘をさらった犯人を突き止めようとしました。すると、山奥の洞窟には巨大な妖怪が住んでおり、娘を食べようとしていました。
そのとき、突然、一匹の白い山犬が現れ、妖怪に襲いかかり、激しい戦いの末に妖怪を倒したのです。助けられた娘は村へ帰り、村人たちは山犬を神の使いとして祀るようになったといわれています。
今でも、大川山の近くには**山犬を神として祀る小さな祠(ほこら)**があり、山犬が守り神として信仰されていると伝わります。
3. 伊予・讃岐の境に伝わる「山犬と盗賊の話」
讃岐(香川県)と伊予(愛媛県)の国境には、昔、山賊が出没していました。

あるとき、旅の商人が山賊に襲われました。ですが、突然大きな山犬が飛び出してきて、山賊を追い払ったという話があります。この山犬は、商人が以前に助けた子犬が成長した姿だったとも言われています。
それから、商人は山犬の恩に感謝し、その後、神社に山犬を祀るようになりました。
山犬伝説に共通する特徴
四国地方を含め、日本各地に伝わる山犬伝説には、次のような共通点があります。

- 神の使いとされる
- 山犬(狼)が神の使い、もしくは神そのものとされることが多い。
- **山犬神(やまいぬがみ)**として信仰されることもある。
- 人を助ける存在
- 旅人が山道で迷ったとき、山犬が案内する。
- 妖怪や盗賊を退治する話が多い。
- 畏れられる存在でもある
- 山犬の遠吠えが聞こえると、不吉なことが起こるとされる。
- 山犬を粗末に扱うと呪われる、または復讐される話もある。
- 白い山犬の伝説が多い
- 伝承に登場する山犬は、白い毛並みをしていることが多く、「神聖な存在」として描かれることがある。
他の地域に伝わる山犬伝説
四国以外にも、日本各地には「山犬伝説」が存在します。
- 三峯神社(埼玉県)
- 狼(山犬)を神の使いとして祀る神社。
- 遠野物語(岩手県)
- 山犬が人間を試す話や、村を守る話が伝わる。
- 御嶽神社(東京都)
- 山犬(狼)信仰の神社として知られる。
まとめ
香川県を含む四国地方には、山犬(ヤマイヌ)を神の使いとして信仰する伝説が数多く残っています。特に「人助けをする山犬」の話が多く、妖怪退治や旅人を守る伝承が特徴的です。
山犬は、日本において単なる野生動物ではなく、「神聖な存在」として語り継がれているのです。