原作で読むピーターパン|永遠に子どもでいた少年とネバーランドの真実
案外と内容が知られていないピーターパン。
今回は、J.M.バリーの原作小説『Peter and Wendy(1911)』に基づき、以下のように構成した物語調の記事をご提案します。
ディズニーでは描かれなかった原作独自のシーンや設定も多めに含めます。
【原作準拠】ピーターパン 〜大人になれない少年とネバーランドの物語〜
はじめに
時計の針が静かに時を刻む夜。
子ども部屋の窓辺から、ひとりの影が忍び寄る――
これは、永遠に大人にならない少年・ピーターパンと、夢の島ネバーランドで繰り広げられる冒険の物語です。
第一章 ピーターパン、ロンドンに現る
ロンドンのダーリング家。
長女ウェンディは、弟のジョンとマイケルに毎晩おとぎ話を語っていました。
そんな彼女の前に、ある晩突然現れたのが――空を飛ぶ少年ピーターパンと、小さな妖精ティンカーベル。

ピーターは、自分の「影」を探してやってきたのです。
ピーター:「僕の影が逃げちゃったんだ!」
影を縫い付けてもらったピーターは、お礼にウェンディたちを**「ネバーランド」**へと誘います。
第二章 ネバーランドへ飛ぶ夜
「右に曲がって、第二の星を過ぎて、朝までまっすぐ!」

ティンカーベルの妖精の粉を浴び、空を飛ぶウェンディたち。
子ども部屋から空高く舞い上がる彼らの姿を、両親は知りません。
空には海賊船が漂い、雲の隙間から見えたのは――想像と魔法の島、ネバーランドでした。
第三章 失われた子どもたちと「母」
ネバーランドに着いたウェンディたちは、「ロストボーイズ(迷子たち)」という子どもたちと出会います。彼らには“お母さん”がいません。だからこそ、ウェンディの登場は彼らにとって奇跡でした。

ロストボーイズ:「ウェンディ、僕らのお母さんになって!」
ウェンディは喜んで子守唄を歌い、物語を語ってやります。
しかし、そんな穏やかな日々は、やがて嵐に包まれていきます。
第四章 フック船長とピーターの因縁
ネバーランドを脅かす存在――それが、海賊のフック船長とその手下たち。
フックはかつてピーターに片腕を切り落とされ、それをワニに食べられてしまった過去があります。
以来、ワニはフックを狙い続け、近づくと「カチカチ」と時計の音が聞こえるようになりました。

フックはピーターへの復讐に燃え、ロストボーイズやウェンディたちを捕える計画を進めていきます。
第五章 インディアンの王女 タイガー・リリー
ある日、ピーターたちはネバーランドの住民であるインディアンの部族と出会います。
彼らの王女・タイガー・リリーは、フックにさらわれたところをピーターに助けられます。

タイガー・リリー:「命の恩人、あなたは部族の友!」
原作ではこのインディアンたちの描写が豊富で、友情や儀式など、ピーターとネバーランドのもう一つの顔が描かれます。
第六章 裏切りと誘拐
ティンカーベルは、ピーターのウェンディへの親しさに嫉妬してしまいます。
そして、思わぬ形でロストボーイズに「ウェンディを撃つよう」伝えてしまうのです。

幸い致命傷は避けられますが、その隙を突いたフックたちはウェンディたちを誘拐。
ピーターはひとり、海賊船に向かう決意を固めます。
第七章 最後の戦いと帰る決意

ロストボーイズを助けるため、ピーターはフック船長と再び対決。
激しい戦いの末、フックはついにワニに飲み込まれ、海へと消えました。
こうして平和が戻ったネバーランド。
でも、ウェンディは言います。
ウェンディ:「私たちは――もう帰らなきゃ」

ピーターはひとり、ネバーランドに残ることを選びます。
なぜなら彼は、永遠に大人にならない少年だから。
第八章 時は流れて
ウェンディは大人になり、娘のジェーンに物語を語るようになります。
そしてある夜――

「ねえ、お母さん。あれ誰?」
「あれは……ピーター・パンよ」
ピーターはいつまでも変わらず、空を飛びながら、新たな“ウェンディ”を探していたのです。
おわりに
原作『ピーターとウェンディ』は、ただの冒険譚ではありません。
それは、「永遠の子ども」と「避けられない成長」のあいだに揺れる心を描いた、切なく美しい物語です。
もしあなたが子どもだった頃の気持ちを思い出したくなったら――
そっと夜空を見上げてみてください。
第二の星を過ぎて、朝までまっすぐ――
きっと、ピーターがそこにいます。