ハリティー(鬼子母神)とは?子どもを守る仏教の女神の由来と信仰

ハリティー(Hariti, 訶利帝, 鬼子母神) は、インド仏教や日本の信仰に登場する女神であり、子どもの守護者でありながら、もともとは子どもを食べる鬼神であったという特異な背景を持つ存在です。

彼女は母性愛と慈悲の象徴として崇められる一方で、かつての恐ろしい鬼神の姿も伝えられています。


ハリティーの起源

ハリティーはもともとインド神話や仏教の経典に登場し、特に**『増一阿含経』や『大智度論』** に詳しく記されています。

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  • 彼女は夜叉(ヤクシャ)族の鬼女で、もともとは子どもを捕まえて食べる恐ろしい存在だった。
  • ハリティー自身も500人もの子どもの母親であり、自分の子どもは大切にしていた。
  • しかし、彼女が人間の子どもを奪い続けたため、多くの親たちが嘆き苦しんでいた。

釈迦との出会いと改心

ハリティーが子どもを食べることをやめたのは、釈迦(ブッダ)との出会いがきっかけでした。

  1. 釈迦はハリティーの最も愛する子どもを隠し、彼女がその悲しみに打ちひしがれる様子を見せた。
  2. 釈迦は、「お前はたった一人の子どもを失っただけでこれほど悲しむのに、なぜ人々の子を奪い苦しめるのか?」と諭した。
  3. ハリティーは深く反省し、子どもを食べることをやめ、仏教に帰依した。
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このエピソードを通じて、ハリティーは「子どもの守護者」へと転身し、母性愛の象徴として崇拝されるようになった。


ハリティーの信仰

1. インドでの信仰

  • インドではハリティーは女神ラクシュミーやドゥルガーと混同されることがあり、特に子どもを守る女神として信仰されている。
  • また、医療や疫病除けの女神としても祀られることがある。

2. 中国・日本での信仰(鬼子母神)

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  • 中国や日本では「鬼子母神(きしもじん)」として知られ、安産・子育ての守護神とされる。
  • 日本では特に日蓮宗や真言宗で広く信仰され、鬼子母神を祀る寺院が各地に存在する。
  • 母性愛の象徴として、子どもの健康や幸福を願う人々に崇められている。

ハリティー(鬼子母神)の特徴と姿

特徴意味・解釈
鬼神から母神へ転身釈迦の教えによって、恐ろしい鬼女から子どもの守護者へと変わった。
500人の子ども豊穣や母性愛の象徴であり、多産と繁栄を意味する。
果物を持つ姿一般的にザクロ(子孫繁栄の象徴)を持つ姿が多い。
子どもを抱く姿母性愛と子どもの守護の象徴。
鬼のような姿(初期)もともとは恐ろしい姿をしていたが、仏教に帰依して穏やかな顔になった。

鬼子母神を祀る有名な寺院

  1. 鬼子母神堂(東京・雑司ヶ谷)
    • 子どもの健康や安産を祈願する参拝者が多い。
    • 雑司ヶ谷鬼子母神は、都内でも特に有名な鬼子母神の霊場。
  2. 鬼子母神堂(京都・妙蓮寺)
    • 京都にある日蓮宗の寺院で、安産・子どもの成長を祈願する人々が訪れる。
  3. 法華経寺(千葉県)
    • 鬼子母神の信仰が篤く、安産祈願の参拝者が多い。

現代におけるハリティーの意義

  • 子育ての守護神として、特に日本では信仰が続いている。
  • 鬼から母神へと転身した物語は、慈悲の大切さや母性愛の力を象徴している。
  • 医療や病気除けの神格として、現代でも祈りを捧げる人がいる。

まとめ

  • ハリティーは元々、子どもを食べる鬼神だったが、釈迦の教えによって改心し、子どもを守る女神となった。
  • インドでは子どもの守護者として、中国や日本では「鬼子母神」として信仰される。
  • 現代でも安産・子育ての神として、日本各地の寺院で祀られている。

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