ナポレオンの死を予言した幽霊「赤い男」｜フランス王族を襲う怪奇伝説
フランスの「赤い男」：ナポレオンの死を予言した幽霊
フランス史において、ナポレオン・ボナパルトやフランス王室にまつわる怪奇な伝説が数多く存在します。その中でも特に有名なのが「赤い男（Le Petit Homme Rouge）」の幽霊伝説です。この幽霊はフランス王族や歴史的指導者の前に現れ、不吉な出来事を予告すると言われています。
伝説の起源
この伝説の始まりは16世紀まで遡ります。カトリーヌ・ド・メディシスがテュイルリー宮殿を建設する際、近隣で肉屋を営んでいたジャンという男がいました。この男は、宮廷の陰謀を知りすぎたために処刑されたと言われています。
死の間際、彼は「私は戻ってくる」と言い残し、その後、赤い服を着た小柄な男の姿で宮殿に出現するようになったと伝えられています。
それ以来、この「赤い男」はフランス王家や帝政期の重要な転換点で目撃されるようになりました。
ナポレオンと「赤い男」
ナポレオン・ボナパルトは、この伝説と特に深い関わりを持っていたとされています。
1815年、ワーテルローの戦いの数週間前のことです。彼の前に「赤い男」が現れ、敗北と帝国の崩壊を予告したと言われています。
この出来事はナポレオンの側近たちの間でも語り継がれました。彼が「赤い男」を恐れていたという逸話も残っています。
彼はこの存在を単なる迷信と捉えようしていました。しかし、実際には強い不安を抱いていたと伝えられています。
王族と「赤い男」
「赤い男」はナポレオンだけでなく、フランス王族の前にも現れていました。
- マリー・アントワネット：1792年7月、フランス革命が進行する中、彼女の前に「赤い男」が現れ、王政の終焉を予告したと言われています。
- ルイ18世：彼の死の数日前にも「赤い男」が現れ、不吉な前兆を告げたとされています。
特にフランス革命の混乱の中で、この幽霊の目撃談が頻発しました。宮廷内では「赤い男」が災厄の使者として恐れられるようになりました。
テュイルリー宮殿と「赤い男」
テュイルリー宮殿は、この幽霊伝説と深く結びついています。1871年5月23日、パリ・コミューンの際に宮殿が炎に包まれました。その時、多くの目撃者が炎の中に「赤い男」の姿を見たと証言しています。
この出来事は、「赤い男」がフランス王政や帝政の象徴として現れました。最終的に宮殿とともに消え去ったのではないかという説を強めました。
伝説の真相は？
「赤い男」の伝説には多くの証言があります。しかし、その実在を証明する確かな証拠はありません。歴史的な転換点や悲劇の直前に何らかの形でこのような目撃談が生まれます。これは、人々の不安や時代の空気を反映している可能性があります。
現代でも「赤い男」はフランスの怪奇伝説として語り継がれています。そして、パリのオカルト文化の一部として人々の関心を引き続けています。果たして彼は本当に存在したのか、それとも恐怖と想像が生んだ幻影なのか。真相は未だに謎のままです。
