藤原成通と蹴鞠|火事場にも飛び込んだ平安貴族の情熱とは?

平安時代、貴族たちのたしなみとして「蹴鞠(けまり)」は高い人気を誇っていました。

その中でもひときわ名を残すのが、**藤原成通(ふじわらのなりみち)**という人物です。

蹴鞠を愛し、蹴鞠に生き、時にはその情熱が周囲を呆れさせるほどだった――
今回は、そんな成通と蹴鞠にまつわる逸話をご紹介します。


藤原成通とは何者か?

藤原成通は、平安時代後期の公卿で、藤原道長の曾孫にあたります。
高貴な家柄に生まれ、学問や政務よりも芸道(げいどう)や遊びごとを好んだことで知られます。

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特に、蹴鞠への情熱は異常ともいえるほどで、記録によると――

「雨の日も風の日も、朝な夕なに鞠を蹴り続けた」
「左大臣でありながら、政務よりも鞠の予定を優先した」

といった逸話が『大鏡』『今鏡』に記されています。


鞠を追って火事場へ飛び込んだ

もっとも有名な逸話が、「火事場に蹴鞠が飛び込んでも、成通は追いかけた」という話です。

ある日、成通が友人たちと蹴鞠を楽しんでいたところ、不運にも鞠が燃え上がる屋敷の中に転がり込んでしまいました
周囲は「危ないからやめろ!」と制止しますが、成通はこう言い残したと伝えられています。

ChatGPT-Image-2025年5月25日-02_35_50-683x1024 藤原成通と蹴鞠|火事場にも飛び込んだ平安貴族の情熱とは?

「あれはただの鞠ではない。私の魂そのものだ」

そして彼は、火の中へ鞠を拾いに行き、幸いにも無事だったといいます。

・・・これはすごい話しですかねw?


なぜそこまで蹴鞠にこだわったのか?

当時の蹴鞠は単なる遊びではなく、儀礼・教養・芸道のひとつとされていました。
円形の輪になって、リズムよく蹴り続けるその姿は、まるで雅楽の舞のようであり、貴族の洗練された美意識の象徴でもあったのです。

ChatGPT-Image-2025年5月25日-02_38_42-1024x683 藤原成通と蹴鞠|火事場にも飛び込んだ平安貴族の情熱とは?

藤原成通にとって蹴鞠は、「人としての理想を体現する場」であり、美の追求・礼の実践・精神統一の手段だったのかもしれません。


蹴鞠を通して伝わる平安の心

現代の感覚では、政務を放棄してまで鞠を追いかける姿は、やや滑稽にも映ります。
しかし、そこには「何か一つのことを極めようとする情熱」が確かにありました。

藤原成通の生涯は、平安貴族の美意識・価値観・没頭の極致を私たちに伝えてくれます。


おわりに

蹴鞠という優雅な遊びに命を懸けた男――藤原成通
彼の逸話は、今もなお京都・奈良の蹴鞠神事の背景に息づいています。

ChatGPT-Image-2025年5月25日-02_40_48 藤原成通と蹴鞠|火事場にも飛び込んだ平安貴族の情熱とは?

もしあなたが蹴鞠の儀式を見る機会があれば、その背景にこんな人物がいたことを思い出してみてください。
鞠に込められた“気品と情熱”は、1000年の時を超えて、今も静かに回り続けているのです。

ところで、蹴鞠のルールはご存じですか?

ルールってあったんですか?

蹴鞠のルール

蹴鞠(けまり)には独自のルールや作法がしっかり存在します。
ただし、サッカーのような「勝敗を競うルール」ではなく、**美しく蹴り続けることを目的とした“芸道的なルール”**です。


🔹 基本ルールと目的

▶ 目的:

  • 鞠(まり)を地面に落とさずに蹴り続けること
  • 技の巧拙や回数ではなく、優雅さ・礼節・所作の美しさが重視されます

🔹 主なルール(形式)

項目内容
参加人数4〜8人(通常は6人程度)
フィールド正方形(約6〜10m四方)・砂を敷き、四隅に木を立てる「鞠庭(まりにわ)」
隊形プレイヤーは輪になって配置され、順番に蹴る
鹿の皮で作った中空のボール(直径約20cm、120g前後)
装束「鞠装束(まりしょうぞく)」と呼ばれる直衣(のうし)や狩衣(かりぎぬ)を着用。烏帽子をかぶることが多い
蹴り方片足で蹴る。つま先を上に向けて、真上に鞠を返すのが理想とされる

🔹 禁止事項・マナー

  • 力まかせに蹴らない優雅さが第一
  • 地面に落とさないように工夫するが、落ちても怒らない
  • 失敗しても笑わない、咎めない
  • 会話や声掛けは和やかに、和を乱さないことが重要

🔹 特有の掛け声

蹴鞠では、プレイヤー同士が互いに声をかけあいます。

  • 鞠が上がったとき:「アリ(在り)」
  • ナイスプレイに対して:「ヤア」など

※これはプレイを円滑にし、呼吸を合わせる儀礼的なやりとりです。


🔹 蹴鞠の勝敗は?

ありません。

  • 競技ではなく芸
  • 「美しく、続ける」ことが最大の目的
  • 成功回数や時間を競うことはない

✅ まとめ:蹴鞠は“美と和のスポーツ”

特徴内容
目的鞠を落とさずに美しく蹴り続ける
精神礼儀・調和・連携を重んじる
文化的意義神事・儀式・貴族の教養として尊ばれた

勝敗のないスポーツなんですね!素晴らしい!

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