フランケンシュタイン第2章|怪物が人間を学び、愛されずに復讐を決意するまで
科学者ヴィクター・フランケンシュタインの手によって生まれた“怪物”は、命を得た直後にその醜さゆえに拒絶され、世界にひとり放り出されました。
第2回では、この「名もなき怪物」がどのようにして人間の社会や言葉を学び、何を思い、そしてなぜ復讐へと向かっていくのか――その内面に迫っていきます。
彷徨う存在
怪物は、自分が何者かもわからないまま、森をさまよいます。
誰からも教えられず、動物を追い、水を飲み、雨や寒さを避けながら生き延びていきました。

しかし、彼の心には「理解したい」という強い欲求が芽生えていました。
それは、生まれながらにして持っていた知性と感情の証でした。
デ・ラセー家との出会い
ある日、怪物は一軒の農家を見つけます。
そこには、盲目の老父とその子どもたちが住んでいました――デ・ラセー一家です。

怪物は物陰から彼らの暮らしを観察し、やがて彼らに「憧れ」を抱くようになります。
家族のあたたかさ、言葉のやりとり、互いに助け合う姿――それは怪物にとって、理想の世界そのものでした。
怪物は隠れながら、彼らの会話を真似し、読み書きを独学で覚えていきます。
書物から学ぶ“人間”
怪物が読んだ本の中には、『失楽園』『ソルターンの冒険』などの文学もありました。
それらの物語を通じて、怪物は人間の感情、歴史、宗教、そして愛を知ります。

同時に、自分が“普通の人間ではない”ことにも気づいていきます。
「なぜ、自分はこのように作られたのか?」
「なぜ、誰も自分を愛してくれないのか?」
孤独と疑問が、怪物の胸に重くのしかかります。
初めての接触、そして拒絶
ついに怪物は、彼らと直接話そうと決意します。
老父がひとりでいるときを見計らって、家に入り、丁寧に言葉をかけます。

盲目の老父は、怪物の姿を見ずにその話を聞き、好意的に受け止めようとします。
しかし、そこへ帰ってきた子どもたちは――その“見た目”に恐れおののき、怪物を家から追い出してしまいました。
その瞬間、怪物の心は深く傷つきます。
怪物の涙と怒り
「私は善を望んだのに、なぜ悪と呼ばれるのか――」
絶望と怒りに包まれた怪物は、自分の“創造主”ヴィクターへの怒りを募らせていきます。
復讐の始まりです。

怪物はヴィクターの故郷へ向かい、弟ウィリアムを見つけます。
子どもなら、無垢な心で受け入れてくれるかもしれない――そんな一縷の望みをかけました。
しかし、ウィリアムもまた怪物を拒絶し、叫びました。
その瞬間、怪物はウィリアムを絞め殺してしまうのです。
再会と取引
怪物は、ウィリアム殺害の罪を、無実の女性ジャスティンに擦りつけました。
そして森に隠れ、ヴィクターが現れるのを待ちます。

ついに、ヴィクターと怪物は再会します。
怪物は自らの体験を語り、「私は怪物ではない。愛が欲しかっただけなのだ」と訴えました。
そのうえで、ヴィクターにこう言います。
「私に、仲間を作ってほしい。もう一人、私のような存在を。
そうすれば、人間の世界には近づかないと誓おう――」
次回予告
次回は、フランケンシュタインが再び“創造”の決断を迫られる場面、そして破壊、復讐、逃走と悲劇が加速していく終盤を描きます。